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新月を追って
19
「あ、中西と工藤じゃーん」

 向かう道すがら、恐らく声変わりは未だなのではと思われるボーイソプラノに名を呼ばれて辺りを見渡すも、それらしき人物が見当たらず、二人は顔を見合わせた。
 二人して不思議そうに首を傾げていると再び同じ声で、おーいと呼ばれた。そして目を向けると今度は声の主を見つけることが出来た
 こっちこっち、と手招きされるままに駆け寄る二人

「千田っ」
「ばんはっ二人して花火行く途中?」
「うん」
「良かった俺も行くとこ…だよねー?直哉さん」

 にこにこ、元気良く言葉を紡いでいく千田だったがその耳障りの良い声が直哉の名を呼ぶと敦志はビクリとした。何故だか今は会いたくなかった。
 ぎこちない動きで千田が振り向いた方へ顔を向ける

「あれ!?いなくない!?ひでぇー…おぼえてろよぉっ」

 元気が良いままそんなことをサラリと言ってのけると千田はくるっと二人を振り返り、いいから行こうと急かし始めた
 千田の話では、直哉は恐らく先に向かい清澤は既に敷物を敷いて待っている、とのことだった


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あきゅろす。
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