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新月を追って
17
 それから敦志は依月の好意に甘えてベッドで眠り疲れきった身体を休めた。
 不意に目を覚ますと窓の外は暮れてきていた、気だるげにゆっくり身体を起こすと壁に備え付けられた時計に目をやる。随分と長い時間寝てしまったようだ、慌ててベッドを抜け出し階段を降りて行った。
 一階の居間に足を踏み入れると依月が驚いた顔で起きたのと声をかけてくる

「うん…寝すぎた……大丈夫かな?」
「平気平気、花火未だだし」

 夏祭りの締めくくりに花火が打ち上げられるのだが結構数多く打ち上げるものだから、この辺りでは有名な花火行事であった
 笹山たちは昼間の祭りに飽きらかし花火を待つ間の暇つぶしに卑猥な行為に耽っていたのだ
 笹山たちは先に行っていたが敦志たちも来るように言われていた。最も場所は清澤が取るという話だったから今日はこれ以上何かされるわけでもないだろうが敦志が億劫そうに溜め息を吐いていると思い出したように依月が自らの横に置いていたものを差し出してきた

「洗っておいたんだ、アイロンもかけたし」
「え?洗った?あ、乾いてる…」
「ウチ、乾燥機あるから」
「あー…ありがとな」

 依月に手渡されたのは敦志が着てきた甚平だった。行為の際に脱がされ汚れていたが洗ってくれたらしい、その事に心から感謝しながら敦志はそれに着替えた

「ほんとありがとな?服貸してもらったり、洗ってもらったり」
「い、いいって気にするなよっ」
「でも…」
「いいからっそろそろ行こう?」
「うん」

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