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新月を追って

 0と敦志が立ち上がったのは同時だったかもしれない。足が震えて壁に片腕をついて一息つくと敦志は外村の方に顔を向けた。でも目を見ることすら出来ずに外村の胸元を見ながら消え入りそうな声で

「庭で…」

と呟いた
それは自ら望んだようなものだった。呟きと同時に涙が頬を伝う。涙を見られたくなくて俯いたが外村が気付かないはずもない。
 顎を捕らえられて、上を向かされた。外村の目を見たくなくて目を閉じると更に涙が頬を伝い落ちる
 少し、敦志にとっては長い時間、何も起きずにただ顎に触れる外村の指の体温を感じていたが急に敦志は強い力で腕を掴まれ庭へと連れて行かれた
 それからどれくらいの時間外村に抱かれていたか敦志は分からなかった。やはり涙を見せると外村は余計興奮するらしい、何度も何度も突き上げられた
 逃げようとする腰を引き寄せられ、もういやだと懇願したが許されずに気を失うまで狂った行為は続けられた



 ふと意識を取り戻すと敦志は天井を見つめていた。肌をくすぐる風や、うるさい蝉の鳴き声にそこが外であるのに気付いたが前の解けた甚平の上着が体を隠さず、すべてを曝け出していても体がだるく、重くて腕さえ動かす気にならなかった。
 縁側にあお向けで寝ていた敦志はギシッという足音につられて視線を向けた。そこにいたのは依月だった。依月の家と案内されて来た家だから当然なのだが敦志は突然ガバッと飛び起きた

「うっ」
「中西っ」

 初めて見られるわけでもないのに同い年の同じチームの相手だからか、こんな姿を見られるのは恥かしかった。だが急に起き上がった為に無理を強いられた体は悲鳴を上げた。
 苦しみ呻く敦志を心配して依月が駆け寄ってきた。あと少しで触れられそうになって敦志は思わず、触るなと手を振り解いてしまった

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あきゅろす。
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