新月を追って
16
「っ!?」
敦志がそれに気づいたときには既に足に衝撃を感じて、次の瞬間には前に投げ出されていた。
結構な速さで走っていたものだから地面に叩きつけられる痛みはただ転ぶのには比べ物にならなかった。加えて衝撃を受けた足にすぐさま痛みが襲ってくる
「うああぁ!」
痛む部分を手で押さえながら敦志は起き上がることも出来ずに体を丸めて痛がった。
どこかでホイッスルが鳴って練習は一時中断になったのだろう、みんな集まってこようとしている。
そんな中誰かがいち早く敦志の肩を叩いた
「悪かったな」
スライディングしてきた相手だろう、敦志は痛みを耐えてギュッと瞑っていた目を開けるとそこにいたのは
―――外村だった
敦志は一瞬で背筋が凍るような恐怖を感じた。信じられないものを見るような目で唇を戦慄かせて言葉も発せずにただ外村を見上げていた
「中西っ大丈夫か?外村ぁっお前スライディングまでするこたないじゃん」
他の部員が駆けつけて外村に笑いながら突っ込みを入れ、針の筵の様な沈黙が終わりを告げる。直哉に大丈夫か?などと覗き込まれ、返事をしている内に敦志の視界から外村は消えていた
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