新月を追って
10
「笹山には余計任せらんないって!」
だったら俺がやるとか言い出す始末。少しばかり口げんかの様相の二人を敦志はぼんやり見ていたが後から来た依月に
「着替えないの?」
「え?あぁっ着替えなきゃっ」
と訊かれ思い出したように自分のロッカーに行った
「中西ちゃーんっあれ!?」
暫くして松島が振り返ったときには敦志は既にいなかった。キョロキョロして奥のほうに敦志の姿を見つけると松島はほっと胸を撫で下ろした
「なぁ松島」
「なんだよ!」
「別にさ俺らがどうこうの前に外村がいんじゃん」
ディフェンスラインまでこれたら良いけどな、と嫌味ったらしく耳元で言う笹山の声に松島は自然と外村へと目を向ける。外村は相変わらずの冷たい眼差しで敦志を見ていた
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