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新月を追って
20
 その言葉に驚き、敦志は目を見開く。長いこと直哉がいれば醜態をさらけ出してしまうかもしれない。だから出来れば早く帰って欲しかった。
 けれどもこんな状況でなければ、もっといて欲しかった。相反する思いに思考が乱れ、うんともすんとも言えない敦志

「寝顔見ていいなら…いてもいいけど、嫌だろ?」

 ゆっくり、でも確実に頷いた敦志を見て直哉はだよなと笑いながら敦志の髪をくしゃっと撫でる。そんな直哉を下から見上げていた敦志は見つめてくる目が優しい色をしている気がした

 直哉は不意に髪を撫でるのを辞めると敦志に背を向け、自分の荷物と一緒に置いてあったコンビニ袋を引き寄せて

「シュークリーム、中西甘いの好きだろ?」

 ビニールの袋に包装されたシュークリームを少しばかり出して見せるとにこっと笑い、ベッドの近くのサイドボードにそれを置く。直哉の動きにつられてサイドボードの上に視線を向けている敦志に帰るな?と直哉はおもむろに立ち上がった


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あきゅろす。
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