新月を追って
８
「はい、だっ…れ…」
ドアが開くとそこに立っていたのは外村だった。外村を目にした瞬間本能が危険を察知して、すばやくドアを閉めようとしたのだが外村に足を挟まれドアは閉めることができなかった。
足によって少し開いたドアに手をかけ、外村は無理にドアを抉じ開けると家の中に踏み込んだ
「つれないな…見舞いに来てやったっていうのに」
そう言いながら息がかかるくらい近くまで顔を近づけてくる。
敦志は数歩後ずさり、くるっと背を向けて逃げ出そうとし、おっと言いながら外村が手首を掴んで引き寄せた。そして反対の腕を腹部にまわしてガッチリ掴まえる
「離…せっ」
じたばたと暴れる敦志をものともせず、外村は敦志を引きずるようにしながら靴を脱ぎ家に上がった
「お前の部屋、何処だ？」
耳元で外村が尋ねる。外村が来たということはされることは一つだろう、直哉が来るかもしれないというのに部屋に入れるなどできないと敦志は黙ってしまった
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