新月を追って
4
雨の降ったあの日からしばらくして梅雨は過ぎたのか雨はピタリと降らなくなっていた。
グランドは乾きサッカー部の練習が再開されても敦志の姿はそこにはなかった。同じクラスの者の証言により風邪で休んでいるらしいと分かったのだが、それにしてももう一週間近く休んでいた
「あいつ今日も休むって?」
そう尋ねながら外村は直哉の前に座った。
最初メールをしていながらも直哉に風邪を引いたことは隠していた敦志だったが部活の方で直哉が知ったために今では休む連絡を直哉にもしてくるようになった
直哉な外村の質問にただ、あぁと頷いて窓との外に視線を向けた。直哉の頭は何故、風邪を引いたことを隠したんだとか、あの時傘を貸していればということでいっぱいだった。まるで自分が敦志に重い風邪を引かせてしまったと思い込んでいるようで溜め息ばかり吐いていた
「俺…見舞いに行こうかな」
直哉に呟きに、外村が大きく目を見開いた
「じゃあ…俺も行くかな」
そう言い口端を吊り上げて何かを企んだ様に笑う外村に外を眺める直哉は気づかなかった
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