新月を追って
2
「そう?でもなんか嬉しそうだったけどな」
外村は尚も追及をやめようとせずにそんなことを言って直哉の顔色を窺った。するとその言葉に直哉の手が止まる
「ほんとに違うって」
「ムキなって…ますますあやしい」
「あやしくないっ中西だって」
ムキになって、の言葉に恥かしさからか、心なしか赤くなった直哉に外村は気づくことはなかった。それどころか今まで楽しそうに追及していたのにまるっきり笑っていない顔でどこかを見ている
「…外村?」
なんだか気味が悪くなって直哉が声をかけると
「中西って言ったか?」
それは聞いたことないような恐ろしい声に聞こえた。騒がしい教室のせいで確信は持てなかったがどうやら怒りを含んだ声だった。思わず硬直してしまった直哉に答えを急かすように外村が視線を向ける
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