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新月を追って

 驚いて言葉の返せない敦志を見て直哉は少し慌てて

「いや、誰か迎えに来るとかなら良いんだ」
「…誰も来ないですよ、親共働きだから」
「…同じだ」
「良いんですか?入れてもらって」
「良いよ」

 敦志は重い腰を上げ、ポンポンッと尻についた埃を払った。それを見届けた直哉が傘を広げる。
 ボタン一つでバッと広がった傘の下に直哉と並んで入ることがなんだか照れくさかった

「今日は残念だったな」

 歩きながら直哉が口を開く。今日、というのはサッカー部の練習が中止になったことだろう。
 多少の雨くらいだったら練習するサッカー部だったが最近降り続ける雨のせいでグラウンドが浸水してしまったのだ。さすがにそんな状態で練習したらぬかるんだところに足をとられて怪我するかもしれない、ということで雨が落ち着くまでしばらく練習を見合わせるということだった

「俺は…ずっとこのままでも良いです」

 直哉は敦志の言葉に敦志に目を向ける。直哉よりもだいぶ小さい彼は前を向いたまま、それでいて何処となく悲しげだった

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あきゅろす。
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