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新月を追って

 雨脚は激しい。無防備に出て行ったらあっという間にズブ濡れだ。家が近いわけでもないのにさすがにそれはマズイだろう。
 それでもしばらく迷って立ち尽くしていたが仕舞いにあきらめて邪魔にならないように、と端っこの柱に寄りかかって座り込んで雨が地面を叩きつけるのを見ていた

 どのくらいそうしていたかはわからない。雨で下がった気温に身震いしたような頃声をかけられた

「中西?」

直哉だった



「傘、忘れたのか?」

 整った顔に笑いかけられ、ドギマギしながら「あ、はい」と答えた。
 直哉は雨の降るさまに目を向けて一寸考えてから口を開いた

「入ってくか?」

と直哉は自分の傘に視線を落とし、つられて傘に視線を向け敦志は意味を理解した。

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