新月を追って
1
梅雨に入ったんだろうか、ここのところの天気はほぼ毎日が雨だった。暗く淀んだ雨雲が呼び寄せる雨は敦志の心情にはお似合いだった。
あれから部活のほうが忙しくなってきたせいか誰かに抱かれることはなかったが、まだ消えない手首を一周する赤い痣が男に陵辱されたことを忘れさせない。
まだ長袖を着ることの出来る季節で良かったと敦志はシャツの袖口を引っ張って痣が見えないようにした。
そして机にうつ伏せ、そのまま横目で窓の外を見た
―――このまま雨だったらいいのに
敦志の願いが叶ったのか、雨は帰りまで降り続いていた。
鞄に入っていたはずの折りたたみ傘が今日に限って見当たらず、敦志は玄関を出たところで途方にくれていた
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