新月を追って
10
中は長年の雨風で汚れた小さな窓から僅かに光が入ってきているだけで薄暗く、なんの匂いかわからないが空気が篭っている感じだった
足を踏み入れ、何か蠢くものを視界にとらえ敦志は足を止めた。
―――なにか居た気がしたんだけど…
隈なく室内に視線を向けていると突然高く積んだ跳び箱の影から人が出てきた。その姿を見るなり敦志は逃げ出そうとしたが、扉の前に依月が立ちはだかっていた
「そんなすぐ帰ろうとすんなよ〜」
後ろから羽交い締めされるように抱きつかれ、嫌がりもがきながら敦志は依月に助けを求めるような視線を向ける
「工藤っ話があるんじゃなかったの?!」
「話?そんなのいいから俺たちと楽しもうぜ」
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