君に捧ぐ
35
プリンを買ってきたと告げると、嬉しそうにお風呂入ったら食べようと言ってくれたのでこのチョイスは間違って無かった。
今日はまだ眠くないので髪を乾かし合ってから、ソファーへ並んで座りテレビを付ける。
丁度やっていた番組には最近俺の中で流行りのモデルが出ていたので思わずガン見。
「あー、楓だっけ?」
「そー。」
あーん、と先程のプリンを食べさせて貰いながら答える。
何故俺がこの行為を甘んじて受け入れているかというと、そうしないと東吾がプリンを分けてくれないのだ。
いつも優しいのにこの時は意地悪くなる。
なにゆえ。
「こんな無口で無愛想な男のどこがいーのさー?」
これは楓を見る度に聞いてくる。
なにゆえ。
楓の年は俺達より1個上らしい。
まず高校2年でこの色気は有り得ない。すごい。
確かに無口だけど喋れば知的さが伺える。素晴らしい。
ちょっと笑みを浮かべれば女の子はいちころ。羨ましい。
これを要約すると、
「俺に無いもの持ってる。」
「まあ確かにオーラあるよねえ。…じゃーさ、もし会えたらどうする?」
「楓に?」
「うん。」
考えた事無いな。
完全に雲の上の人だし。
「とりあえず弟子にしてもらうかな。」
「…ん?」
東吾がスプーンを口にくわえたまま首を傾げる。
「まー流唯の思考回路って理解できない事も多いしねぇ。」
そして勝手に納得したらしくまたプリンを食べ出した。
ちょっと待って理解できないってどういう事だ。
でもなんであんな事聞いたんだろう?
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