君に捧ぐ 26 よく分からない内容だったので適当に流して聞いていたら突然話をふられ困った。 勢いのままに首を縦に振れば後ろの席の紘が首に巻き付いてくる。 「意味も分からず同意しないっ!」 「…はい。」 バレてた。 「まぁ良い。これからよろしくな。」 頭をグシャグシャされて教壇へ戻っていくちとせ先生。 乱れた髪を甲斐甲斐しく整えてくれる東吾にお礼を言い、本鈴と同時に授業が始まった。 ちとせ先生が生徒会顧問であると共に、先程のよろしく発言がそのことを意味すると知ったのは6限目が終わった時のことである。 ―――― 放課後。 皆に別れを告げ、教室を出た。 律が気を利かせて送ろうかと言ってくれたが丁重にお断りしておいた。 重度の方向音痴でも無いのでその心配は無用だ。 ちゃんと生徒会室くらい行けるはず。 「…すいません。」 「え、僕?」 「生徒会室ってどうやって行けば良いですか。」 「せ、生徒会室…?」 頷くとこっちです。と歩き出した。 案内してくれるのか。 親切な人で良かった。 結論から言うと俺は迷子になった。 まぁ以前龍弥先輩と行った時必死に空気と同化しようと思ってたから道順なんて覚えてるわけ無かった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |