君に捧ぐ
12
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入学式から少し日にちが経ち、クラスにも打ち解けて来たと思う。高校から編入して来た俺をすぐに受け入れてくれた今のクラスにはとても感謝している。
なんか過保護な気はするけど。
そんな過保護なクラスメートの目を盗んで授業をサボり今は校内を探検中だ。
別に迷ったワケでは無い。
戻ろうと思えば教室へ戻れるはずだ。
だから迷ってない。
キョロキョロと辺りを見渡して足を前に進めて行く。
ふと甘い匂いがした。
この匂いを辿って行くしか無いと言う本能に従い更に歩みを進めると、そこらのと質が違う白色の趣味の良い扉を見つけた。
―カチャ。
そっと扉を開けるとそこはお洒落なカフェの様になっていた。
と言ってもテーブルは1つしか無かったが。
思っていた通り俺の追っていた甘い香りが部屋の中に充満している。
「誰?どうしてここにいるのかな?」
目を輝かせて見渡していると、横から声がかかった。
どうやらもう1つあった扉から来たらしい。
…どこぞの王子様だ。
スラッと伸びた手足、高い鼻、フワフワの髪は触り心地が良さそう。
ネクタイの色は青なので1つ上のようだ。
「甘い香りに誘われました。」
「そうなの?嬉しいなぁ。」
この人には絶対警戒心が足りないと思う。
疑う事を知らない真っ白な先輩の名前は悠稀という。
体が弱く体育に参加出来ない為ここで暇を潰しているらしい。
何それ羨ましすぎる。
更に聞くと、この甘い匂いの元は先輩が作ったクッキーだとか。
一緒に食べる?とほんわかする笑顔で聞かれたのですぐに頷いた。
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