君に捧ぐ 1 †?? side 遠くで鐘の鳴る音が聞こえる。 ―予鈴か。 後少しで昼休みが終わってしまう。 今聞こえる音と言えば緑を揺らす風の音のみ。 今日は誰にも見られず静かな所で過ごしたかった。 そういう気分だったのだ。 なのに、やっと良い場所を見つけたと思ったらもう昼休みは終わる。 普段はどうと思わない自分の境遇に溜め息を吐いた。 今いる場所は裏庭だ。 誰にも手を付けられず雑草は延び放題だが、所々にイスやらテーブルが置いてある。 以前は良く使われていたのだろうか。 改めて辺りを見渡すとある1つのイスの周りだけ綺麗に整地された部分があった。 そこには横たわる人影が。 「おい。もうとっくに予鈴は鳴ってるぞ。教室に戻れ。」 そう呼び掛けるもその男は微動だにしない。 ―寝てんのか。 踵を返し見なかった事にも出来たが、生徒会長の肩書きがそれの邪魔をした。 若干眉を寄せながらそいつに近づいていく。 立ち止まり、背を向けている相手を起こそうと手を伸ばした瞬間。 「ん…。」 「っ!!」 そいつは気配を感じ取ったのか寝返りを打ち微かに目を開いた。 [次へ#] [戻る] |