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空色少女
43 剣



バイクをかっ飛ばしてスクアーロは護衛達を撒いた。
紅奈を膝に乗せて、ヘルメットを被せて。

何気気配りがなっている。


「かっこいいバイクだね、スクアーロ」

「そーかぁ?」


素っ気ない言葉なのに紅奈に褒められて鼻を高くしているスクアーロ。


「……てめぇっ!!」


よし行くぞ!とまた紅奈を担いだ時、低い声が聴こえた。


「あれ、XANXUS。よく来たね」

「当たり前だぁ…畜生め…」


ゼェゼェとバイクから降りるXANXUS。走ってバイクを奪って追い掛けてきたなんてツッコミを入れない。


「何勝手なことしやがってるカス!護衛を振り切ったら大事になるじゃねぇか!!」

「大丈夫だよ、スクアーロがあたしと面識のない誘拐犯じゃないし。XANXUSきたし」


紅奈は地面に足をつけて、XANXUSを宥める。


「てめえらは状況をわからなすぎだ!!」

「ハンッ!お前、これぐらいの騒ぎも手に終えないのか」

「お前…人任せしすぎだ…」


腕を組んで鼻で笑う紅奈。
ワナワナ震えるXANXUS。


「刺客なんてまとめてぶっ潰した方がいいぞぉ゙ー。紅奈に降りかかるからな」

「るせっ!紅奈がくっつかなきゃオレがかっ消しに行ってた!」

「んなのいーし。スクアーロ、何すんだ?」


紅奈はその件を一蹴してスクアーロを見上げた。

XANXUSは肩を落としてスクアーロはいわくありげにニヤッと笑う。








「待て待て待て」


紅奈は焦って激しく首を振った。


「あたし怪我人だぞ」


平気で歩いているがこれでも怪我人だ。包帯だらけなのに何故真剣を持たされなくてはならない。


「オレの今の剣技を叩き込んでやる!」

「だから怪我人だっつーの!」

「行くぞぉ!!ゔぉ゙おおいっ!!」


問答無用で向かってくるスクアーロ。
せめて竹刀にしてくれ。


   ガキィインッ


「っ!!」


防ぐしか出来なかったが、思ったより重い。本当に容赦ない。

小さな身体は飛ばされた。


「っ……XANXUSお兄ちゃん!スクアーロお兄ちゃんが虐待するぅ!」


紅奈は離れたところにいるXANXUSに助けを求めた。


「お前の実力が知りたいから本気でやれ」

「実力はねぇよ!」


XANXUSは何故か真剣に腕を組んで見学。わかってないこいつら。


「剣も銃も最近持ったばっかだっつーの!」


スクアーロとのちゃんばらで死ぬ気になれないだろう。


この世界は甘くねぇぞぉゔぉ゙おおいっ!!


   ガキィンッ


またスクアーロが距離を詰めて左手につけた剣を振り上げた。
また紅奈は剣で防いだが、握りが甘すぎて弾かれる。


   ビィッ


首筋に剣が当てられた。


「…一本だぁ」


ニヤリッ、勝ち誇った笑みでスクアーロは言う。
紅奈は頭にきて、ムッと口を尖らせた。


簡単に挑発に乗る、と内心でも笑っていたが直ぐに紅奈の表情は変わる。



 

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