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空色少女
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見知った保護者に預けるならば、許可は出るだろうと考えた。

日頃お世話になっていると言えば効果的。

前々からお泊まりの話はしていた。

家光が直接挨拶と話をして、雲雀家でお泊まり決定。


家光と奈々はハワイ旅行へ。
紅奈と綱吉は雲雀家へ。


「キョウくん。待っててば。これ終わったら」

「はやく」

「待てて」

「はぁやく」


待てを聞かない奴だ。
一日のノルマをやってから遊ぶと話したのに、夏休みが始まってから待っていた恭弥は急かす。


「キョウくん。四日間もお泊まりするんだ、焦らなくてもたっぷり遊べるから……宿題の邪魔しないで。キョウくんもやりなよ」

「やだ。遊ぶ」

「………………」


紅奈と綱吉とテツは宿題をやっていたが、恭弥だけは遊ぶのを待っている。

欲しいな、パシリ。

しかしこれくらいのことはやらないと堕落してしまう。

宿題より稽古の方が楽しいが、現在小学生の身分。このつまらない時間を乗り切ろう。


「よし!何して遊ぼう!」


本日のノルマクリア。

ばんっと紅奈は立ち上がった。


「野球!野球!土手いこう!」


クイクイと紅奈の腕を揺らす綱吉は、武と遊びたくて提案する。


「よし土手い」


く、と言おうとしたが、野球をするにはグローブがなくては。
グローブは家だ。


「グローブ取りに行かなきゃ。先いってて」


紅奈は一人走って取りに向かう。


誰もいない家に帰ってきたが、予想もしなかった客人がそこに待ち構えていた。


「紅奈っ!」


玄関の前に座り込んでいたベルが顔を上げて笑みで呼ぶ。


「ベル…何してるの?また勝手に来たの?」


周りにスクアーロの姿はない。
また無断で会いに来たようだ。


「だって紅奈、挨拶もなしに帰るから」

「言い訳すんな。怪我も完治してないくせに」


こてん、とティアラの手前で紅奈はチョップを落とす。

そう言えば、9代目に会いに行くと言ってヴァリアーの屋敷を出たためベルは帰国のことを知らなかったのか。




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