空色少女 186 見知った保護者に預けるならば、許可は出るだろうと考えた。 日頃お世話になっていると言えば効果的。 前々からお泊まりの話はしていた。 家光が直接挨拶と話をして、雲雀家でお泊まり決定。 家光と奈々はハワイ旅行へ。 紅奈と綱吉は雲雀家へ。 「キョウくん。待っててば。これ終わったら」 「はやく」 「待てて」 「はぁやく」 待てを聞かない奴だ。 一日のノルマをやってから遊ぶと話したのに、夏休みが始まってから待っていた恭弥は急かす。 「キョウくん。四日間もお泊まりするんだ、焦らなくてもたっぷり遊べるから……宿題の邪魔しないで。キョウくんもやりなよ」 「やだ。遊ぶ」 「………………」 紅奈と綱吉とテツは宿題をやっていたが、恭弥だけは遊ぶのを待っている。 欲しいな、パシリ。 しかしこれくらいのことはやらないと堕落してしまう。 宿題より稽古の方が楽しいが、現在小学生の身分。このつまらない時間を乗り切ろう。 「よし!何して遊ぼう!」 本日のノルマクリア。 ばんっと紅奈は立ち上がった。 「野球!野球!土手いこう!」 クイクイと紅奈の腕を揺らす綱吉は、武と遊びたくて提案する。 「よし土手い」 く、と言おうとしたが、野球をするにはグローブがなくては。 グローブは家だ。 「グローブ取りに行かなきゃ。先いってて」 紅奈は一人走って取りに向かう。 誰もいない家に帰ってきたが、予想もしなかった客人がそこに待ち構えていた。 「紅奈っ!」 玄関の前に座り込んでいたベルが顔を上げて笑みで呼ぶ。 「ベル…何してるの?また勝手に来たの?」 周りにスクアーロの姿はない。 また無断で会いに来たようだ。 「だって紅奈、挨拶もなしに帰るから」 「言い訳すんな。怪我も完治してないくせに」 こてん、とティアラの手前で紅奈はチョップを落とす。 そう言えば、9代目に会いに行くと言ってヴァリアーの屋敷を出たためベルは帰国のことを知らなかったのか。 [*前へ][次へ#] [戻る] |