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空色少女
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「おじいちゃん、びっくりした。ロミオみたいに毒を間違って飲んじゃったのかと思ったよ」


騒ぎに驚いて綱吉は飛び起きたが、状況を理解しようともせず睡魔に負けてまた椅子に横たわり眠ってしまった。

そんな弟の顔を覗いてから、紅奈は9代目を見上げる。


「驚かせてすまない、紅奈ちゃん」


9代目は椅子に腰を下ろし、紅奈を膝に座らせた。

落ちたワイングラスは守護者が片付け、部屋を出て扉を閉めていく。


「…ロミオは間違って飲んでねぇ」


XANXUSは間違いを指摘しながら自分の席に戻った。


「美しい愛の物語だと私は思う」

「美しい?あんなの悲劇なのに。…ううん。喜劇みたい」


そんなことを言い出すものだから、XANXUSも9代目も目を丸める。


「家族や友も捨てて愛する人を選び失った話なのに…何故喜劇なんだい?」

「家族や友から逃げるための死んだフリだったのにあと追って、でまたあとを追うなんて。コメディみたいだと思わない?」


何を言い出すんだ。
スクアーロ達の前ならまだしも、9代目の前でする話ではないだろ。


XANXUSは止めようとしたが、既に紅奈には何かのスイッチが入っていた。

9代目は確認できない紅奈の表情は皮肉でも冗談を言っているようには見えない。


「家族や友も捨てて愛する人を選ぶことはすごいけれど、でも死んじゃいけない。あたしは絶対に自分を殺さない。自分を殺すなんてだめだよ。いけないこと、でしょ?」


それを聞いて、漸く紅奈が言いたいことがわかった。


死を嫌う紅奈。
自分を殺す行為を許さない。


「…そうだね。それでこのお話は悲劇になってしまったんだ。いけないことだ。紅奈ちゃんならどうしたかい?」

「あたしがジュリエットだったら?」


紅奈の刺々しい雰囲気を静かに撫でるように9代目は問う。


「あたしがジュリエットだったら……ジュリエットみたいに恋に落ちたことないからわからないけど、あたしなら好きなところで好きなように好きな人と過ごす」

「でも…家族がそれを許してくれず、引き裂こうとするんだ。どうする?」

「んー。家族なんだからわかってもらう。きっとわかってもらえるもん。ジュリエット達は因縁?のせいで反対されちゃうんでしょ、なら因縁を壊しちゃえばいいんだ。愛でね」


刺は削がれたのか、紅奈は子供らしく9代目を見上げて笑いかける。


暖かな空気へと変わった。


「じゃあそんな愛する人を見つけたら、私に是非紹介してくれ。私は拒んだりしないから」

「うんっ」


紅奈はコクリと大袈裟に首を縦に振る。






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