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空色少女
149



結果はぼろ負け。
最悪だ。


また負けた。
自業自得で、負けた。


紅奈に捨てられる。


怖くなった。

迫りくる死よりも、紅奈に切り捨てられることが怖い。


紅奈に捨てられたら。

紅奈に背を向けられたら。


世界が暗転。


光が。


紅奈の光が。


消えてなくなる。


「さっさとトドメをさせ。まだ子供二人がいるはずだ」


自分の迂闊な行動のせいで、彼女が狙われている。
自分がバカなことをしたばっかりに。


光を奪われる。
光を奪おうとしている。

許さない。

そんなこと、許さない。


道ずれにしてでも全員を殺してやる。

殺さなきゃいけない。

なのに、身体は重くなる。
ずしりと、ずしりと、堅くなる。

撃たれた場所は焼けるような痛みがして、血が溢れた。折られた骨がどこかに突き刺さって痛い。


オレが。
オレが。

オレが、片付けなきゃ。


立ち上がろうとしたその時に、紅奈は扉を蹴り破ってきた。

先に逃げてろと言ったのに。


紅奈はまだ怒っていた。
冷たい眼差しを向けられた。

捨てられる。

そう絶望した。


「オレがなんとかしてあいつらを殺せたのに…!先行けって言ったのに…!なんで紅奈は戻って来たんだよ!」


そして、彼女は謝ると言った。
自分の失態のせいで、紅奈が頭を下げる。


世界の中心に立つ彼女が。

世界の頂点の彼女が。

キングである彼女が。


自分の失態のせいで、頭を下げる。






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