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空色少女
11 炎



「餓鬼相手に何を手こずってる!!」


誰かが叫ぶ。

紅奈は奪った銃で道を塞ぐ最後の男を殴ってから走り出した。

出口は何処だ?


走り回って辿り着いたのはキッチン。
咄嗟にコンロを見てここを爆破しようと考えた。
回してガスを出す。

発砲されない内に窓から皆を乗り出して出た。


それからその窓に向けて発砲した。


   ガウンッ


  ドガンッ!!


激しい爆発に小さな身体は吹き飛ばされた。

グルリと一瞬視界が見えなくなったが、目の前にコンクリートが見えて咄嗟に身体を捻り上手く着地をする。

肩膝をついても倒れそうになった為、手をつく。


炎に包まれて少し髪と服が焦げた。屋敷を見れば炎と黒い煙に包まれていた。


意識が遠退く。瞼が重いが逃げなくては。火事で男達は建物から出てくる。

逃げなくては。


なのに身体が動かない。


目の前に散乱する硝子。
自分の顔が映る。

綱吉とよく似た顔。
目付きは冷たく落ち着いたような感じ。今にも閉じてしまいそう。

額には小さな灯火。
オレンジ色に瞬く炎。


死ぬ気の炎。


不意に気配を感じて右を向いた。
少し離れた場所に立つ少年が見える。しかし視点が定まらずよく見えない。


「いたぞ!!」


追手がきた。
直ぐに銃口を向ける。

燃え上がる炎。
くるスーツの男達は影にしか見えない。

撃てない。


「ゔお゙おおいっ!!」


急に轟く声。
銀髪の少年が目の前に立ちはだかる。光る剣が男達を切り裂く。

まるで電光のように早く動く少年を見て、身体の力が抜けた。

バタリと紅奈は倒れる。


「見付けたぞ!この少女だ!!」

「あれは!?」


他の人の声が聴こえた。


「あの少年に手を貸せ!」

「この子を運ぶんだ!」


聴こえる限り、味方らしい。
ボンゴレか。

ホッと安心して意識を手放した。


暗い暗い闇の中に陥る。
ズシリと重みを感じながら堕ちる。



 

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