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空色少女
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夏休みがきた。

夏休み中には、必ずイタリアに行って一回は稽古をつけてもらいたいが。イタリアは遠すぎる。

色々と障害が多すぎるボスへの道。


チャンスがくるまて、待つしかない。
それまで体力をつけておこうとジョギングに筋トレをする紅奈。

それから綱吉と宿題をする。


そんな夏休み第一日目に、訪問者がきた。


「紅奈!」


ドアを開けるなり、飛び付かれた。

金髪。ティアラ。
ベルフェゴールだ。

そして白銀の髪の少年。スクアーロ。


「迎えにきたぞぉ…ボス」


ニッと二ヶ月ぶりのスクアーロは笑みを向けて、問うより先に答えた。


「迎えにきたって……イタリアに連れてってくれるのか?」

「おう。その方が親と別行動する口実を作らずに済むだろ。自由に時間を使える」


しゃがんでスクアーロが説明する。ああ、たしかに。
一緒に旅行にいくよりは、ましだろう。


「だけど…許可が出るかどうか…」


問題はそこだ。
家光が不在なのはチャンスだが、奈々から許可が出るかどうか。


「お母さん。スクアーロお兄ちゃんとベルくんが来たよ」

「まぁ!イタリアのお友達が?あら、初めまして!どうぞ、上がってて」


奈々を呼べば、スクアーロ達に上がるよう言った。
綱吉も二階から降りてきて、二人を見るなり青ざめる。
そんな綱吉を見て、面白そうにベルは笑いを漏らした。


「あ、いえ。すぐ発つので…」


初めて会う紅奈の母に好奇心を抱きつつもスクアーロは断る。


紅奈に似ているような気もするが…。
なんとも暢気なオーラを放っている奈々にちょっと困惑。


「あら、そうなの?ゆっくりしていってほしいのに…」

「このが……いえ、ベルが紅奈と遊びたいと言うんで…日本はもう学校は夏休みですよね?十日だけ、預からせていただけませんか?ちゃんと面倒を見ます。イタリアで遊ばせたいので」


スクアーロにしては丁重すぎる口調。
紅奈はポカーンと見上げる。


(……気持ち悪い)

(…なにも言うな)



紅奈の目線でなんとなく言いたいことはわかっているスクアーロ。


「十日……」


困ったわ、と頬に手を添えて考える奈々。


「紅奈ちゃんと綱吉くんをよね?」

「あ、いや…綱吉は…」

「綱吉も一緒!…お母さんだめ?……一人じゃあさみし?」


スクアーロが綱吉はいらないと言いかけたが、紅奈が遮る。
綱吉は一緒だ。

紅奈は奈々を見上げる。


「んー…お母さん寂しいわ。でも大丈夫!いってきていいわ」

「やった!ありがとう!お母さん!」


しゃがんで許可を出す奈々に、ギュッと抱きついた。


「でも帰ってきたら宿題よ。日記の宿題は持っていくのよ、あと歯磨きはちゃんとしてね」

「はいっ」


母親らしいことを言い忘れない。
よし、完了。

荷造りを手伝ってもらって、スクアーロ達と家を出た。


「ゔお゙ぉい………綱吉は邪魔じゃないかぁ?」

邪魔じゃない


キッと紅奈はスクアーロを睨み上げる。
邪魔扱いするな。


「迎えにきたのはお前とベルだけか?XANXUSは?」

「アイツはぁ、用事があるとかでいねぇ」

「用事…」


紅奈の頼み事だろうか。


「まぁ、父親がイタリア旅行をしぶってたから迎えにきてくれて助かったよ」

「そうだと思ったぜ」


スクアーロは紅奈を見下ろした。
隣を歩く紅奈は綱吉と手を繋いでいる。


二ヶ月ぶりのせいか、少し変わった気がするのは気のせいだろうか?

じっと見てみたが、どこが変わったのかわからない。

やっぱり気のせいか。


紅奈が視線に気付いて、見上げてきた。


「なに?」

「いや、なんでもねぇ……」


スクアーロは、紅奈の髪が少し伸びていることに気付かない。
紅奈も伸ばしていることは、言わなかった。







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