空色少女 132 母の日 目を回している綱吉を起こして、さっさとその場から離れた。 恭弥をそのまま家へと送る。 万が一、また絡まれて次は恭弥が怪我するといけないからだ。 紅奈の撒いた種で、巻き込んではならない。 綱吉も恭弥も渋ったので、来週雲雀家で、ハンバーグを作ればいいと提案すればすんなり頷いた。 「約束」 「うん、約束」 恭弥と指切りをして、今度こそ家へと帰る。 そこには家光がいた。 「おとーさんっ!」 「綱吉!紅奈!ただいまっ!」 なんだ…帰ってきたのかよ。 そんま目線を送る紅奈。 綱吉は嬉しそうに家光に飛び付いた。 それを受け止めて続いては愛娘の抱きつきを待つ家光を、スルーして台所へ。 「ちゃんと買ってこれた?コウちゃん」 「買ってこれた。お母さんはゆっくりしててっ」 買い物袋を覗く奈々をリビングへ押し戻す。 「ハンバーグを作るんだってな!楽しみだなぁ」 「今日は母の日。お父さんも手伝いなさい」 豪快に笑う家光にぴしゃりと言う。 紅奈は家光にライスを炊くように指示。 それから綱吉と一緒に野菜を洗う。包丁は紅奈が握って、綱吉にはひき肉と一緒にこねさせた。 「おー!コウ、美味いじゃないか。さすがは母さんの娘!うん、いい嫁になるなぁ………………誰にも渡さんっ!」 「危ないから…触らないで。」 紅奈の包丁裁きを見て妄想しだした家光が抱きついたため、包丁を突きつける。拒絶。 届かないため、焼くのは家光に任せる。 そんな光景を奈々は微笑ましくてみていたがやがて保存したくなったのかビデオカメラを取り出して撮った。 ハンバーグはハート型に焼き上げた。サラダを盛り付けて、完成。 奈々をテーブルにつかせて、それを披露する。 それから学校で描いた絵を、綱吉と一緒に渡す。 「「お母さん、いつもありがとう!」」 声を重ねながら。 「まぁ!二人が描いてくれたの?嬉しいわ」 「美人さんに描けてるなぁ」 本当に嬉しそうに奈々は家光と一緒に綱吉と紅奈の絵を見た。 綱吉も嬉しそうに満面の笑みを浮かべる。 奈々、家光、綱吉。 三人の顔を順番に見つめた紅奈は、やがて微笑みを浮かべる。 「お母さん…大好き」 「ぼくも大好きっ!」 「オレも大好きだっ!!」 紅奈が言えば、綱吉も言い、家光も便乗した。 「まぁ!わたしは幸福者ね」 そう奈々は喜色満面の笑みを漏らす。 貴女の娘として産まれたあたしの方が、幸福者だよ。 紅奈は心の中で、呟いた。 伝えきれないほどの感謝の気持ちは、日記へ記すことにしよう。 日記を開けば、二枚の写真が落ちる。 ベルが届けた写真だ。 一枚は綱吉と紅奈のツーショット。 同じ写真を奈々に渡した。 今はリビングに飾られてる。 もう一枚はベルとスクアーロ、そしてXANXUSと撮った写真。 その二枚を大切に挟んでおく。 (やっぱり場数を踏んだ方がいいかな…) 今日中学生を叩き潰したことを思い返して考える。 毎朝5キロを走って幾分か体力がついた気がするが、一般人の中学生を普通モードで叩きのめしただけでいい気になってはダメだ。 普通モードなら、ベル並み。 死ぬ気モードは…。 果たしてどのぐらいなのだろうか。 一度、スクアーロかXANXUSに手合わせ願おうか。 最強には、まだ程遠いな…。 [次へ#] [戻る] |