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083



「ティアナさんにそう言ってもらえると、なんかやれそうな気がしてきた!前向きに考えてみる!」


うん!頑張れそう!


「いーのかよ、お前10代目の妻の座狙ってんだろ?」


ベルは相手の気持ちも考えず、ズバッと訊きやがった。

この子はっ!いつもいつもナイフのように鋭い言葉を吐くんだから!


「噂でしょ!それ!」


ベルに言ってからティアナさんの顔を見る。


「でも…まぁ…。人の評価なんて他人が決めることなのだから、周りにそう見えてしまうなら仕方ないわ」


ティアナさんは感情なんて込めず、評価も噂も気にしていない様子で言った。

て、ことは違うんだ?


「どっちなんだよ」


否定とも肯定ともとれなかったベルが問い詰めた。


「どっちでも構わないでしょ」


スタスタとティアナさんは先を歩いていってしまう。

きっぱり否定しないのは、どうゆうことなんだ…?

ベルが苛ついたようにナイフを取り出したものだからその手を掴む。


「女の美しさに秘密は付き物よ」

「………」


笑って言えば苛立ちはおさまったのか、ナイフを掴む手を下ろしてくれた。


ニッ、と歯を剥き出しに笑みを浮かべるベルが顔を近付けてきたから仰け反る。

直感で危険を感じた。

な、なんだろ…。


「なにをしてるの?」


ティアナさんが振り返れば、ベルは前向いて先を歩いた。

…?












「ティアナさん、もう少し安いお店がいいんですけど」

「高い方がいいわ」


明らかに高そうな下着専門店に連れていかれた。

流石はお洒落なイタリア。

高級感溢れている。イタリアの値段なんてわからないから値札を見てもわからないけど高いんだろうな…。

ブランドには疎いけど、きっとブランド下着だ。


まじで秘書やってお金をお返ししよう。


「おー、ティアナさん…Dカップなんだ」

「恵さんは?」

「DとBの中間…下着によるの」


ティアナさんと肩を並べて下着選びをする。


「恵、これどう?」


視界に際どいほど布の面積が少ない黒い下着が入った。

ベルだ。


「いや、あたしは…黒い下着は着ないことにしてるから」

「じゃあ赤。」

「……ベル君、恥ずかしくないの?」

「なにが」

「女性の下着専門店にいること」

「全然」


きっぱりと答えるベル君がすごい。

でもまぁ…、と周りを見てみる。


カップルで選んでいる人もいれば、男が一人で物色していた。

男が一人で物色って、変態に思われないのかな。あ、恋人のプレゼントだと思うかフツーは。

てか、カップルで選ぶとか…。

あたしにはとても真似が出来ない…。


「試着する?」

「え?」

「これとこれな」

「え!?」

「試着すべきよ」


ティアナさんとベルに押されて試着室へ入れられた。

試着なんて…!ぐああっ。


とりあえず試着する。


「待って、待って!ベルは見ちゃダメ!」

「なんで?」

「浮気にはいる!浮気したら死ぬ!」

「…大袈裟。ちぇっ」


下着姿を晒すなんて浮気だ浮気。

どこから死に至るかまではわからないけど、気持ちの問題だろうからだめ。
浮気だと思えば浮気だもん。

大袈裟じゃなく、死んじゃうわ!

試着を終えて、購入。


「オレが持つ」


店から出ればひょいっとベルがあたしとティアナナさんの紙袋をとった。


「王子、紳士だね」


驚いて誉める。


「いい男だ、買い物に付き合って荷物を進んで持つなんて女の子に好評だよ」


下着選びを進んで手伝ってくれたし、急かすような文句も言わなかった。

結構生意気な子だと思ってたけど、根はいい子でいい男なんだ。

そう感心していた矢先。


「じゃあ王子に乗り換えとく?」


ニッ、とまたベルは顔を近づけてきた。




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