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「あっ!恵さん!」

「恵さんって呼ばれたくないな」

「えっ!?」

「10代目にさん付けはちょっと…」


何事も二度目は楽なもんで、ティアナさんに続いてボンゴレ本部を歩いて綱吉君の書斎に来た。

あたしを発見するなりガタッと立ち上がる綱吉君にダメ出しすればショックを受けた顔をする。

可愛いなぁ。


「じゃあ……えっと…恵ちゃん…?」

困ったように顔を伏せて見上げてくる童顔な綱吉君にキュンとした。

かっわっいっいっなぁ〜!


「よし、許す!」

「何様だ!」

「いた!?」


グッドサインを向けたら後ろから後頭部を叩かれた。

忠犬な獄寺君だ。

そんな強くツッコミをしなくても…。


「隼人さん。女性を叩くのはどうかと…」

「うっ…。…悪い、つい」

「いえいえ、あたしが調子に乗ったので」


ティアナさんが冷ややかな目で射抜くものだから縮こまった獄寺君は直ぐ様謝罪。

ティアナさん、強し。


「あれ、ティアナさん。今日は珍しく私服なんだね」


いきなり突いてきた綱吉君にギクリとしたが、ティアナさん本人は顔色一つ変えずに「これから恵さんと買い物に行くので」と答えて書類を差し出した。

すげーポーカーフェイス。


「へー、買い物にいくんだ。……ベルフェゴールも?」

「文句あんのかよ?」

「10代目にそんな口聞くな!ナイフ野郎!!」

「しし!殺るか?」

「ちょ、あたしを挟んでやめて!」


気になったらしく綱吉君もベルに目を向けた。そうすればあたしの左右にいたベルと獄寺君が戦闘ムードに。


「綱吉君…すごいね。書類の山」

「う、うん…山積みでね」


危ないから離れて綱吉君の書類が山積みの机に歩み寄る。綱吉の苦笑が疲れきってた。


「これ一人で確認して書いてるの?」

「そうなんだ…」

「秘書がいれば捗るんじゃない?」

「秘書?」

「なら秘書やらねーか?恵」


一つの山に手を置いたらそれがクルリと動いてつぶらな瞳を向けてきたものだから震え上がる。

リボーンのコスプレだ。

綱吉君も気付かなかったらしく一緒に震え上がった。

びっ、ビックリした!


「ひ、秘書?ごめん、あたし秘書の仕事イマイチわからないし…イタリア語読めないし」

「勉強しながらやりゃーいいじゃねーか。ティアナに教わればいい。それにお前、仕事探してんだろ?」


いい加減なことを言ってすみません…。

ただなんとなく捗るんじゃないかなぁと思っただけで…。

仕事探してることは、ティアナさんから聞いたのかな。


「ティアナはヴァリアーとの仲介業もやってるから、ティアナと一緒に来てヴァリアーに帰ればいいだろ。ダメツナの秘書やらねーか?」


書類の山コスプレを脱いでリボーンがもう一度言う。

そんなできもしない仕事を引き受けられない。


ティアナさんに目を向けてみれば「どうかしら?」と秘書の仕事を勧める口調。

えー、あたしがやっていいのか!?あたしにやらしていいの!?

続いて雇う側の綱吉君に目を向けてみれば。


「!!」


期待でルンルンした目で見上げていた。

助けを求める仔犬みたい。


くっ…!

そんな目で見るなんて!

お姉さん、NOとは言えないじゃないかっ!


「い、一日……考えてもいいかな?」

「!、うんっ!!」


ぐはっ!

喜んでるよ!期待でいっぱいの笑顔だよ!綱吉君!

お姉さん断りにくいじゃないかっ!


用が済んだので退室。


「ティアナさん…いいの?ティアナさんがサポートするはずなんじゃあ…」

「?、その方がボンゴレ10代目は助かるでしょう。恵さんは人を落ち着かせる才能があるし」

「え!?なに!?あたしにそんな才能があるの!?」


元々ティアナさんはサポートするためにボンゴレ本部に滞在しているんだ。

それにこの前も綱吉君のサポートが上手くいかないことを気にしていたし…。好きな人は…。

って色々モヤモヤしていたところにとんでもない発言にびっくりする。


「恵さんが居ると安心するだとか落ち着くってよく言われない?」

「……数回…言われたかな…」


友達にも言われた気がする。

何より一番早くに思い出したのはスクアーロ。彼にも言われた。


「おおらかで包容力があると言うのでしょうか…恵さんは姉御肌で世話好きの一面があるので、ボンゴレ10代目をサポートしていけるはず」


会ってから数日でそこまで言えるなんて。
ティアナさんの観察力と分析に感心した。「すげ」とベルも洩らす。
うん…すごいなぁ。





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