078
「しし!フラれたー。恵、王子に乗り換えとく?」
笑うベルを睨み付ける余裕はなかった。この野郎っ…!
恵の怒りが絶頂みてーだから、恵をどうにかしねぇと。
昨日は好きだって言ったじゃねぇか!!
「おいっ」
「嫌い!」
「うおいっ」
「大嫌い!」
「う゛お゛ぉいっ!!」
「スクアーロなんて大嫌い!!」
「オレは愛してるぞ!!!」
握った手を引いて、引き寄せてから言ってやれば恵は漸くオレの目を見て黙った。
ついカッとなって言った言葉。
もっと雰囲気ある時に言いたかったが、仕方がねぇ。
人前じゃあ恵も嫌がるし、茶化されるだろうが………!?
「……なん、で…」
ギョッとした。
恵は恥ずかしがるどころか、涙を流しやがった。
「…なんでっ…」
ボロッ、と涙が次から次へと落ちていく。
「…そんなっ」
潤んだブラウンの瞳から雫が頬を転がるように落ちて、震えた声を出す。
「…こと……いまっ言うの…!?」
「えっ…恵……?」
「うええぇんっ!!」
「!?」
ついに恵は声を上げて泣き出した。
「うっわー、泣かした」
「泣かしたわ」
「泣かしたですー」
「サイテー」
外野を睨んでからすぐに恵に顔を戻す。
「う゛お゛ぉいっ!なんだ!?何故泣く!?」
「うええぇんっ!!」
涙の理由さえも教えてくれねぇ恵は泣き続ける。酔ってるせいか?
恐る恐るXANXUSに目を向ける。
「チッ」
舌打ちをしたXANXUSはティアナを抱えて談話室を出た。
…アイツ自分で本部にティアナを送る気か?まぁいいか。
オレも泣きじゃくる恵を抱え上げて自室に戻る。
「…つまんねーの。」
「んまぁ、随分恵ちゃんに入れ込んでるわね。ベルちゃん」
「目の前でいちゃつかれちゃあ……奪いたくなるじゃん?」
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