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「…なに騒いでやがる、カスども」


騒いでいたその場はその低い声で静まり返る。


顔を向ければXANXUSさん。


その目はあたしの膝に頭を乗せているティアナさんに向けられていて、寄せられたシワはいつもより深いように見えた。


「お酒飲んでるだけよん、ボス」

「…コイツになに飲ませやがった?」

「あー、恵がジン無理矢理飲ませてた」

「え!なすりつけ!?」


ベルがあたしに全責任を押し付けてきたから、XANXUSさんに睨まれる。


「すみません、あたしがやりました」


素直に謝っておく。


するとXANXUSさんがティアナさんの腕を掴み、引っ張って起こした。

ビクッと震え上がったティアナは頭をフラフラ動かしてからXANXUSさんを見上げる。


「てめえ、仕事終わってねぇくせになに潰れてやがる?」

「………ん…」

「飲めもしねぇ強い酒を飲んでんじゃねーよ、聞いてんのか?」


覚醒しきっていないのか、ティアナさんの頭は垂れているがちゃんとXANXUSさんを見上げていた。

XANXUSさんはまともな返事がかえってこないせいで、不機嫌だ。


「……お兄ちゃん…」


そこに溢れた声。


間違いなくティアナさんの声。


お兄ちゃんと呼ばれたであろうXANXUSさんが固まったため、その場の空気も凍り付く。


まるでXANXUSさんの地雷を踏んだかのような空気を、吸うのに躊躇してしまった。


「お兄ちゃんっ」


甘えたような弾んだ声でティアナさんはまた呼ぶ。


少し歳の離れた幼なじみ。

幼い頃はきっとそう呼んでいたんだろうな。


やだ。きゅんきゅんしてきた。

この二人絶対くっついた方がいい!


って思ったけど、XANXUSさんがどんどん空気を重くしていく。

誰も動かない。


そこにKYな声が轟いた。


う゛お゛ぉ゛ぉいっ!!てめえらなにしやがってる!?

タイミング悪いわ!カス!


スクアーロが登場するなりあたしは立ち上がってグラスを投げ飛ばす。

ふらついて危うくテーブルに倒れるところだった。


「恵!てめっ、飲んだのか!?」

「避けんなカス!!」


避けられたからまたグラスを投げる。


「いつから飲んでやがる!?」

「十一時から飲みながら待ってたけど、恵ちゃんやけ酒しちゃったのよん」

「なんで止めなかった!?あ゛!?誰だ、ジンを飲ませやがったのは!

「むぎゅー」












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