072
「あ、わりーわりー」
「あ!山本君!」
振り返れば山本君がいた。
「暇してると思って遊びにきたんだ」
「まさに暇してたんだ!ありがとー」
「ははっ、良かった。じゃあなにして遊ぶ?」
相変わらずの好青年。
あれ?成人してないなら少年かな…。青年って何歳から青年って呼ぶんだっけ。でも山本君、背高くて青年の方があってるから青年でオッケ!。
「街に行きたいな!まだ観光してないんだぁ」
「それってスクアーロとしなくていいのか?オレと行っていいのか?」
「あ………それもそうだね…」
どうせならスクアーロに案内してもらいたいし、暇ができたらデートの約束もしたもの。
山本君と二人でいくと嫉妬して騒がれるもんね。
「じゃあバッティングしたいな。山本君、もってる?ボールとバッド」
山本君と言えば野球。
身体を動かしたくて言ったが、十五分で音を上げた。
「無理だぁあっ!山本君!かすりもしないよ!」
「球をよくみて、こうグッとブンッといく感じで!」
「わからんわ!」
何度バットを振っても山本君の放つ剛球は打てない。
もう百回は振ったかも。
明日は筋肉痛確定だわ…。
腕がジンジンする…。
ギブアップして談話室で休憩した。
「あら。武さん、恵さん。こんにちわ」
「ティアナさん、こんにちわ!」
「おーす!」
談話室にティアナさんが来てくれて、彼女が持っていたドーナツを頂いた。
それからルッスーリアさんが来たので一緒にお茶を楽しんだ。
「恵ちゃん、スクアーロは?」
「夜に帰ってくると思う。今夜は飲む約束なんだぁ」
「んまぁ、ラブラブね」
えへへ、と照れていればティアナさんが微笑む。
あ、お礼を言うんだった。
ティアナさんのおかげで、スクアーロから謝ってくれたからね。
スクアーロ。
早く帰って来ないかな。
「もうっまじで許さねぇ!!あのカス鮫!!」
バンッ!
リキュールの入ったグラスをテーブルに叩き付けるように置く。
時間はもう既に十二時を回っている。
それでも。
スクアーロは帰ってきていない。
またもやすっぽかしやがった。
あんの野郎!!
談話室には、あたしとティアナさんとベル君とルッスーリアさんとフラン君。
我慢できなくなって飲むと言い出したら、ベル君達も一緒に飲むと言い出してくれた。
だから今、飲みなう。
「…恵さん、飲みすぎては…」
「ティアナさんも飲んで!」
「いえ…わたくしは、お酒は…」
「ボスさんと飲むんだろ!?ならあたしとも酒飲めぇ!」
「…一杯だけよ」
グラスを押し付ければ困った顔をしたティアナさんは受け取る。
「んもう、女の子待たせるなんて。スクアーロはまだなのかしらね?」
「もう知らないもん!スクアーロなんて!」
「ししし、恵ちょー子ども」
「あれ?ベル先輩が恵さんを名前で呼ぶの初めてじゃないですかー?」
「未成年は寝ろよ」
「そうだよ?フラン君、寝たら?」
「仲間外れしないでくださいよー。ミーもアホのロン毛隊長の愚痴を溢したいですー」
「よし!バカスクの愚痴を順番に吐こう!吐けなかったらジンをストレートで飲む!」
「うししー!やるやる」
「え、わたくしも?」
「勿論よ!フランの分はどうするの?」
「飲ませればよくね?」
「だめだめ!フラン君が選ぶでオッケ!」
「じゃあわざと吐かないでベル先輩に飲ませよ…ゲロ!」
「これだからガキは。女に飲ませて潰すんだよ」
というわけで、カス鮫についての愚痴会を開始。
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