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071



「君も忘れ去られないようにせいぜい気を引きたまえ」


今度は義手でチョップされた。
痛すぎる。


「オレの気持ちを疑ってんのかぁ?」

「……あなたじゃなくて、あたしの方だよ」


怒った顔をするスクアーロに頬をつねられた。


ほら…あたしは希薄姫だよ。

夢中だった初恋の人も、連絡を取らなかっただけで忘れ去る。希薄なんだ。


「………なし。今のなし。」

「う゛お゛ぉいっ!最後まで話せ!」


ベッドから出ようとしたがスクアーロに捕まり、逃亡失敗。


「んー。無理。アルコール入ってれば話せるけど…無理ッス。」

「なら飲め」

「頭痛薬にアルコールってどうなのかなぁ」

「ちっ!」


アルコールと頭痛薬の組み合わせが危険かどうかはわからないけど、なんとか飲まされずに済んだ。

これ以上ペラペラ喋れない。


「明日飲むぞ」

「…はぁい」

「潰してやる」

「潰れるほど飲まん!」

「飲まなきゃ犯す。」

「あれ!?」


脅しにギョッとしたが、明日もいることがわかって嬉しくなる。


「明日すっぽかしたらボンゴレ本部行くから。」

「う゛お゛ぉいっ!なんでそうなるんだぁ!?」

「スクアーロの嫌がることをすべきたと思って」

「やめろ!ただでさえ無意識に男の気を引くんだから!男と目を合わすな!喋るな!」

「ヒトを小悪魔みたいに言うな!束縛だよそれ!」

「お前は小悪魔なんだよ!自覚しなきゃてめえ犯されんぞ!?この国手が早ぇかんな!」

「スクアーロ守ってね!」


ウィンクしたら額にデコピンをされた。

小悪魔って酷い…。
ヒトをたらし扱いなんて…。


「守ってやるから…他の男に触らせんなよ」


額を擦った手を退かされ、唇にキスをした。


「……話してなかったっけ?あたし、浮気できないんだよ」


そう言えば話してなかったな。


「あなたの運命の人としてこの世界に存在してるから、他の人に浮気したら死ぬかもだって」

「……なら、安心だな」

「ははは、死ぬ気で浮気なんてできねーわな」


これ以上ない束縛の繋がり。もとい運命の相手。


「スクアーロも浮気したら死ねばいいのにね」

「あん!?」

「浮気って死に値すると思うんだ、うん。他の奴に手出す前にけじめをつけるべきなんだよ」

「……オレはお前だけだ」

「キザっぽいよね、スクって」


むにむに、と頬をこねられてつねられる。

あたしもむにむに、とスクアーロの頬をつねた。

そしたらスクアーロがパクリと鼻に噛みつく。ガキか!

スクアーロの首の後ろに手を回して髪を掴んで引き離す。

そしたらスクアーロもあたしの頭の後ろに手を回して逆に引き寄せた。

唇が重なる。













翌朝は爽快に起きれた。

また隣にスクアーロはいないけど、それでもちゃんと話せたからすっきりだ。

口元が弛む。


あたしとスクアーロとの関係は、恋人。細かく言うと運命で結ばれた恋人。

そんなこと言うとまたベルに貶されるだろうけど、今のあたしは気分上々。


ベッドを直してからシャワーを浴びて着替える。

残りのパンを平らげてから部屋を出た。


談話室に行けば暇をもてあましているフラン君がいると思ったがいない。…今度自室の場所を教えてもらわなくちゃ。


スクアーロが帰るまでの暇潰しを談話室のバルコニーに出て考えた。


フラン君の悪戯で迂闊に屋敷を出るのは危険な気がしてるからなぁ。

屋敷の中で暇を潰さなきゃ。

誰か遊んでくれないかなぁ。


「…………………………」


…暇です。

ティアナさん、いなさそう。

ヴァリアー諸君はいるか寝てるかのどっちか。


……ヴァリアーで構ってくれる人い、な、く、ね?


ボンゴレ本部なら構ってくれる人いるのかなぁーかなぁー。

まじでボンゴレ本部行こうかな。


やっぱりせめて暇潰しになるお仕事をお手伝いしようか。

ティアナさんのヴァリアーでのお仕事をお手伝いしよう。

って決めても肝心のティアナさんがいなくちゃ。


ボスさんならいそうだけど。

カッ消されたくないしなぁ。
ぽんっ。


「みゃあ!?」


いきなり肩を叩かれて震え上がった。





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