070
「……そばにいて、ほしい…」
「!」
「…そばにいてくれないと孤独で死にそうよ…。離れてたら…希薄に、思うわ…。だから長い間一人にしないで」
恥ずかしさを堪えて、言わなくちゃいけないことを云う。
伝えなくちゃいけないこと。
「……好き…」
声に出した途端に、熱が爆発したみたいに上がってきた。
もう耐えられない。
スクアーロとの見つめ合い状態から逃れようとしたが、スクアーロは顎を掴んだまま。
絶対真っ赤で笑える顔をしてる!見るな!
「オレも好きだ」
「…っ」
ぐい、とまた顔を向き合わせられた。
そして告げられる。
余計に熱くなって目を伏せた。
ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。
心音が速くなる。
スクアーロの唇が近付いてきたことに気付いて、視線を上げれば唇が重なった。
一度唇を離してから、あたしを見つめてもう一度唇を重ねる。
深い口付け。
スクアーロの舌が入ってきてあたしの舌を絡めとる。
「んっ…」
ついていけなくて情けない声を漏らすけど、スクアーロはやめるどころかエスカレートさせていった。
角度を変えながら、もっとと求めるように深くしてくる。
くちゅ、洩れる音にゾクッとした。
まるで毒でも盛られたみたいに、思考が麻痺していく。
スクアーロの頬に右手を添えて、その右手を滑らせるように彼の頭の後ろに回して引き寄せる。
スクアーロは逆らわず、あたしをゆっくり押し倒した。
薔薇の花束を挟んだまま、キスを夢中でする。
「んぁっ…」
「…可愛いぜぇ」
スクアーロの手がYシャツの中に入り込み、お腹を撫でるようにして上へと向かう。
その指先が胸に触れたところで、あたしはその手を掴んだ。
「………」
「………」
「……おい、まさか…」
「……」
「ここまできて…お預けなんて、ねーよな?」
スクアーロの手を押さえつつ、首を横に振る。
「だよな。続きをしてもいいよな…」
「む…むりっ…」
「>う゛お゛ぉいっ!なんでだぁあ!?」
もう無理。これ以上は無理です。
「今お前から誘ったよな!?なぁ!?」
「ご、ごめんなさい…」
「素直に謝るなぁあっ!」
涙目で謝ればスクアーロはバタンと倒れた。
いや、あの、薔薇、薔薇つぶれてる。
「ホント申し訳ない…すみません…これ以上は…」
「やめろぉ…オレが悪いみたいだぁ…」
「…薔薇がグシャリだよ、スク」
「……知らねーよ」
カス鮫が拗ねました。
「お前、モテるくせにオレが初めての恋人なのかよ」
「あら、恋人なら過去に山ほどじゃないけどいたわ」
「…いたのか」
「このあたしを誰だと思ってる?希薄姫ぞよ」
「威張んな。つか、ぞよってなんだ」
重いから隣に退ければ訊かれた。
うん、ぞよってなんだろね。
「好きだなぁって思って告白したらオッケーって出たんで付き合ったら、自然消滅した」
「…初カレか?」
「うん」
「どんな男だぁ?」
「んー。奥手?所謂ぅ草食男子かな。いつもあたしから電話するから"こいつあたしのこと本当に好きなのか!?"と疑問に思ったんで、あっちから連絡くるまで待ってたら……いつの間にかそんな存在を忘れてた。」
「…………………」
友達に「彼氏は?」と問われて「え?彼氏ってなんのこと?」と素で忘れてた。
「希薄姫。」
「どや顔やめろ。」
チョップされた。
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