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「……そばにいて、ほしい…」

「!」

「…そばにいてくれないと孤独で死にそうよ…。離れてたら…希薄に、思うわ…。だから長い間一人にしないで」


恥ずかしさを堪えて、言わなくちゃいけないことを云う。

伝えなくちゃいけないこと。


「……好き…」


声に出した途端に、熱が爆発したみたいに上がってきた。

もう耐えられない。

スクアーロとの見つめ合い状態から逃れようとしたが、スクアーロは顎を掴んだまま。

絶対真っ赤で笑える顔をしてる!見るな!


「オレも好きだ」

「…っ」


ぐい、とまた顔を向き合わせられた。

そして告げられる。

余計に熱くなって目を伏せた。


ドクン。ドクン。ドクン。ドクン。


心音が速くなる。

スクアーロの唇が近付いてきたことに気付いて、視線を上げれば唇が重なった。

一度唇を離してから、あたしを見つめてもう一度唇を重ねる。

深い口付け。

スクアーロの舌が入ってきてあたしの舌を絡めとる。


「んっ…」


ついていけなくて情けない声を漏らすけど、スクアーロはやめるどころかエスカレートさせていった。

角度を変えながら、もっとと求めるように深くしてくる。

くちゅ、洩れる音にゾクッとした。

まるで毒でも盛られたみたいに、思考が麻痺していく。

スクアーロの頬に右手を添えて、その右手を滑らせるように彼の頭の後ろに回して引き寄せる。

スクアーロは逆らわず、あたしをゆっくり押し倒した。

薔薇の花束を挟んだまま、キスを夢中でする。


「んぁっ…」

「…可愛いぜぇ」


スクアーロの手がYシャツの中に入り込み、お腹を撫でるようにして上へと向かう。

その指先が胸に触れたところで、あたしはその手を掴んだ。


「………」

「………」

「……おい、まさか…」

「……」

「ここまできて…お預けなんて、ねーよな?」


スクアーロの手を押さえつつ、首を横に振る。


「だよな。続きをしてもいいよな…」

「む…むりっ…」

>う゛お゛ぉいっ!なんでだぁあ!?


もう無理。これ以上は無理です。


「今お前から誘ったよな!?なぁ!?」

「ご、ごめんなさい…」

素直に謝るなぁあっ!


涙目で謝ればスクアーロはバタンと倒れた。

いや、あの、薔薇、薔薇つぶれてる。


「ホント申し訳ない…すみません…これ以上は…」

「やめろぉ…オレが悪いみたいだぁ…」

「…薔薇がグシャリだよ、スク」

「……知らねーよ」


カス鮫が拗ねました。


「お前、モテるくせにオレが初めての恋人なのかよ」

「あら、恋人なら過去に山ほどじゃないけどいたわ」

「…いたのか」

「このあたしを誰だと思ってる?希薄姫ぞよ」

「威張んな。つか、ぞよってなんだ」


重いから隣に退ければ訊かれた。
うん、ぞよってなんだろね。


「好きだなぁって思って告白したらオッケーって出たんで付き合ったら、自然消滅した」

「…初カレか?」

「うん」

「どんな男だぁ?」

「んー。奥手?所謂ぅ草食男子かな。いつもあたしから電話するから"こいつあたしのこと本当に好きなのか!?"と疑問に思ったんで、あっちから連絡くるまで待ってたら……いつの間にかそんな存在を忘れてた。」

「…………………」



友達に「彼氏は?」と問われて「え?彼氏ってなんのこと?」と素で忘れてた。


「希薄姫。」

「どや顔やめろ。」


チョップされた。





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