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068 「…スクアーロの女!」




すると次はティアナが談話室に来た。


「報告書は?」

「……………」


報告書を取りにきたティアナに黙り込むベル。


「まだなの?」

「……………あの女」

「?」

「…スクアーロの女!」

「恵さんがなに?」

「頭痛薬、探してたんだよ。報告書書いてやるからオマエ看病してこいよ」

「……頭痛…」


スタスタとベルは先に談話室を出ていった。

ティアナはベルの可笑しな態度に首を傾げつつ、スクアーロの部屋に向かう。









「眠くなると思いますが」

「大丈夫です、ありがとうございます」


ティアナからもらった頭痛薬を飲んだ。


頭痛を和らげるためだと恵はお湯を持ってきてくれた。
両手をお湯に入れる手浴で、頭痛は和らぐ。


「これだから習慣を崩したくないんだよね…ストレスで偏頭痛が起きちゃう」

「無理もないでしょう。異世界ですしね」


ティアナはなるべく頭痛を和らげようとツボを押してくれた。


「ティアナさん、年上ですよね。敬語はいらないですよ」

「わたしにこそ、敬語はいりません。…互いに敬語はやめましょう」


恵は笑みを貼り付けたままお湯に浸かる手をみる。


「…あたし、ボンゴレ本部にお世話になろうかな」

「………ここより確実に安全…けれども」

「この部屋で一人ぼっちなのは……どうもストレスになっちゃうんだ」


ティアナに苦笑を見せた。


「好きな人のそばにいたいと思うけど……我慢強くないの」


温くなった水から手を出せば、ティアナがタオルで拭く。


「…スクアーロは、サボっていた分の任務が溜まっているんです。もう少ししたら落ち着くはずですから…もう少しだけ…もう少しだけ我慢をしましょう」


恵の両手をタオルで包んだティアナは穏やかな眼差しで微笑みを向ける。


綺麗な青い瞳。


紅は吹き出した。


「ティアナさん。敬語」

「あっ…」


クスクスッと恵は笑う。
ティアナも笑い返した。










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