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067 「君にも現れるといいね。運命の相手」




「…うん…?」


何故こんな体勢でそれを問われるのだろうか。疑問に思いつつも頷く。


「それマジで言ってんの?恥ずかしくねーの、成人しといてさ」

「…………そう言われても…」


ユニが言った言葉を信じたのか、誰も否定する言葉は言わなかったから新鮮だ。


「マジらしいよ?ユニちゃんのお墨付き」

「バカらしいとか思わねーの?」

「運命の相手なんてバカらしいと思うの?」

「あったり前じゃん。おとぎ話信じてる可愛い少女のつもりかよ」

「…んー」


真っ向からの否定に恵は苦笑する。


まるで追い打ちだ。
頭の重みが悪化してきた。

そろそろ偏頭痛の痛みがくるだろう。


「そう。おとぎ話を信じてる可愛い可愛い女の子よ。運命の人を求めたからこそ、スクアーロに出逢えたんだ」


胸を張って開き直って言ってみせた。


「オマエ、ほんとガキだな」

「たしか君とはタメだよね…?君は思ったことないの?」


何を言っても否定的なことしか言われないと思い、ベルの上から退こうとしたが腕が腹に絡み付いていて降りられない。


「なにを」

「運命の相手」

「ししし、考えたこともねーな」

「本当に?…誰でも一度は考えると思った」


腕を外そうとしたが、逆に締め付けられて恵は白旗を上げる。


「君は自分のことしか考えてなさそうだもんね」

「しししー、喧嘩売ってる?」

「君にも現れるといいね。運命の相手」


カチンときたベルはナイフを出そうとしたが、恵がニコッと笑って言った言葉に止まった。


「考えてみてよ、自分の運命の相手。まるで約束されたみたいに、必然的に巡りあって…心が惹かれるそんな存在」


ベルの手を取り、小指を絡める恵。


「…………」


ポカーンとベルはその絡まった小指を見た。


恵も薄い笑みを浮かべたままそれを見つめる。


自分の言葉に、胸の奥が痛くなった。


チクチクと、する。


バタンッ。

押されて恵は床に倒れた。ベルに落とされたのだ。


「いった……」

「どこ押さえてんだよ、頭打ってないだろ」

「頭痛だってば」


あ、そうか。ベルは座り込んで頭を押さえる恵をただただ眺めた。


「んー……最悪…」

「…………」


頭を抱えたまま恵は談話室を出ていく。

それをベルは黙って見ていた。


自分には関係ないことだとまたソファに横たわるが、気になってきて眠れない。


ムカムカしてきたベルは起き上がった。




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