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066 「いつまで見てる気だよ?」






またもや一人ぼっち。

ずっと天井を眺めた。

広すぎる部屋で、ポツリといるのは虚しさに襲われる。
その虚しさを吐き出そうと溜め息を吐く恵。


「……そばにいてよ、バカ…」


XANXUSとティアナを思い出すと、余計に虚しさが膨れた。


「運命の相手のくせに……」


枕をギュッとする抱き締めて目を閉じた。











いつもより早く寝たせいか、いつもより早く目が覚めた。


スクアーロはいない。

スクアーロがいない。


帰ってきた形跡すらない。

頭が重い。目を閉じると暗闇でチカチカしたものが見えた。

偏頭痛の予兆だ。


「薬…」


薬は持ち合わせていない。

医務室に行けばあるだろうか。

その前に歯を磨き、腹に何かをいれなくてはならない。

昨日買ったパンを食べながら廊下を歩く。


自分が医務室の場所を知らないことに気付いたため、誰かに聞くために談話室に向かう。


だがスクアーロが戻っていないなら誰もいないかもしれない。


と思っていたが、一人いた。

談話室のソファにベル。

寝ているのか、横たわっている。


音を立てずに歩み寄ったが、ベルは起きない。

疲れて寝てしまったようだ。

一晩中任務していたのだろう。


恵はキョロキョロと談話室を見回して、見付けたブランケットを取る。

それをそっとベルにかけてやった。

しゃがんでベルの横顔を微笑んで見つめる。

ふわふわしていそうな金髪で目元は隠れているが、イケメンっぽい。


(触ったら流石に起きるよね…)


触るのは我慢してただ微笑んで見つめた。


ベルが帰って来ているのならスクアーロは何処だろうか?

立て続けに任務に行ってしまったのだろうか?

どこまであの男は自分をほったらかしにするのだろうか。


「いつまで見てる気だよ?」

「……いつから起きてたの」

「オマエが入ってきた時から。」

「なら声かけようよ」

「やだ。」


いきなり口を開いたため恵は驚いて震え上がった。


ベルは気付かなかっただけでずっと起きていたようだ。

それなのに知らずにニヤニヤ眺めてしまっていた。


「おはよう。医務室何処か教えてくれない?」

「なんで」

「頭痛薬が欲しくて」

「やーだね」

「そっか」


素直に教えてくれないとは思っていたから恵は諦める。

だが立ち上がると、腕を引っ張られた。そのままベルの上に倒れる。


「!?」

「オマエさ、スクアーロの運命の相手なんだって?」


上に乗っかった形でベルはニヤニヤと白い歯を見せて訊いた。


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