057 「そりゃねぇな…」
「話は済んだのか?ソイツ、どこで泊まるんだ?」
初めから居たらしい獄寺が恵に目を向けてティアナに訊く。
「あん!?ヴァリアーに決まってんだろーがう゛お゛ぉいっ!」
「ヴァリアーなんて危険なとこにわざわざ泊まる命知らずがいるかよ!」
「…彼女はヴァリアーを選んだわ」
「!、まじかよ…物好きだな」
「あははは……命は惜しいんだけど、ね」
ガシリとスクアーロが恵の肩を抱く。獄寺の珍獣を見る目が痛く恵は乾いた声を出す。
「山本ぉ!車貸せ」
「お、いいぜ」
「あら、わたしが送るわよ」
「いらねぇぞ!…寄るとこがあるんだぁ」
「…そう」
山本から車の鍵を貰い、直ぐ様スクアーロは恵の手を引いた。
「またな、恵!」
「殺されんなよ」
山本と獄寺が手を振り、ティアナが軽く頭を下げる。恵も手を振った。
「ここは?」
「日本の生活良品も売ってるみせだぁ。お前あのシャンプーじゃねーとだめとか言ってたろ」
「おー、よく覚えてたね」
スクアーロに連れられてた店は海外の生活用品も取り扱っている。
それが必然のようにスクアーロは恵の手を握っていた。
些細なことをよく覚えてたなぁ、と感心する。
「で?なんの話をしてたんだぁ?」
「ん?ティアナさんにそれとなくXANXUSと仲良しかどうか聞いたけど」
「ティアナの話じゃねーぞ、つーかなんでんな話を」
「気になるじゃん、あのボスさんの幼なじみなんて」
スクアーロの持つカゴに、商品を入れながら話す恵。
「ボスさんはなにか言ってないの?ティアナさんのこと。幼なじみなんでしょ」
「あー、そうだなぁ…。一度訊いたが…元カノでも愛人でもねーみてーだ。単なる幼なじみっつー関係でそれ以上の関係になりそうにもねぇな、ありゃ」
「そんなことないと思うんだ、並んでるとこみたけどお似合いだと思うよ?」
「そりゃねぇな…」
「何回か飲んでるって言ってた」
「…それは初耳だが、仕事上の付き合いじゃねーのか」
スクアーロの真っ向からの否定に恵は膨れっ面をする。
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