056 (…可愛らしい人だ…)
(なんだか近付けない感じだな…)
そう感じつつも、恵は話し掛けてティアナのことを知ろうとした。
「ティアナさん、XANXUSさんの幼なじみなんですよね?」
問えば初めてティアナが振り返り、驚いた顔を見せられる。
「…どうして、それを」
(あ、反応した…)
「ベル君に聞いたんですよ」
「…ベルフェゴールですか…」
少し様子が変で恵は首を傾げた。
「ボンゴレとキノラーノは長い付き合いなので、その縁もあって…彼とは一応幼なじみなんです」
「仲良しなんですかっ?」
ティアナの横に並び、恵はキラキラと目を輝かせて見上げる。
ティアナの方が背が高いため恵が見上げる形になったのだ。
(…可愛らしい人だ…)
恵に見上げられてポツリとティアナは思った。
スクアーロが愛していることは一目瞭然。
この可愛さが愛される要素なのだろう、ティアナは思う。
「仲良しの定義がわからないので、答えられません…」
「仲良しの定義………よく遊ぶとか!」
「………昔はよく…連れ回されたりしましたが…遊ぶというより、振り回されただけでした。パーティーではダンスを求められたこともありますが…子供の頃だけです。大人になってからは数回お酒を飲むくらい」
ティアナからしたら、仲良しではないと答えたかったかもしれない。
だがあのXANXUSに連れ回されただとか、ダンスを求められただとか。
それだけで恵からしたら仲良しの幼なじみだ。
再びフラグ立つ。
そこでスクアーロの声が聴こえてきた。
足を進めれば、広間でスクアーロと山本が刃を交じり合わせているのを見付ける。
互いに楽しんでいるのか、笑みを浮かべながら凄まじい斬撃を放つ。
「…かっこい…」
「剣を振るうスクアーロは初めてですか?」
「はい」
スクアーロに釘付けになりながらもティアナの問いにうんうん頷く。
「…羨ましいですね。運命の相手が明確なのは」
「え?」
ティアナの呟きに恵が顔を向ければ、ティアナは銃を二人に向けていた。
二つの銃声が轟く。
恵が震え上がるより前に、反応した山本とスクアーロは自分に飛んできた弾丸を真っ二つにした。
「お、話は終わったみてーだな」
「う゛お゛ぉいっ!喧嘩売ってんのかぁ!?ティアナぁ!」
「腕が鈍っていないようね」
「てめぇなんかの弾、当たりゃしねーぞ!」
銃を発砲とは、流石はマフィアだ。
女優でも秘書でもなく、マフィアなティアナ。
恵はいかに自分が場違いかを痛感した。
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