052 「つまり、運命の赤い糸で結ばれているからこの現象が起きたと?」
「スクアーロさんと恵さんが運命の赤い糸で結ばれているからです」
笑顔でユニは言い放った。
「ぶふっ」
恵は危うくエスプレッソを吹きかける。テーブルにカップを置いて咳き込む。
両手で赤くなる顔を隠すためだ。
「う゛お゛ぉいっ!!やっぱりそうかぁ!」
ここで声を上げるのはスクアーロ。見れば嬉しそうににやついている。
「はい。お二人が赤い糸で結ばれているからこそ、こうして世界を越えて出逢えたのです」
まるで神のお告げを伝える神父みたいに、笑みで告げるユニ。
「そ、それは……ユニちゃんの推測とかじゃなくて…」
「事実です」
ユニはあっさりと頷く。
シャーマンのユニが言うなら、事実は事実だ。
恵は頬が熱くなるのを感じた。
「う゛お゛ぉいっ!恵。シャーマンのお墨付きだぁ、放せねぇぞ?オレの運命の女」
「っ!」
ガッ、と手を引っ張られたかと思えば隣のスクアーロに手を握られる。
恵と引き離される可能性に不機嫌だったが、その不機嫌は吹き飛んだ。
公衆の面前で恥ずかしげもなくキザなことを言うスクアーロに、恵はガァッと赤くなった。
「っ少し外してもらえませんか!?」
ブンブン、スクアーロの手を振り払おうとしながら恵は声を上げる。
「山本君と獄寺くんと…スクアーロも!」
「あ!?」
「お願い!こいつを連れてって!山本君!」
「おう、わかった!」
「あん!?」
「スクアーロ、剣握ってねーんだろ?相手になんよ」
「……そうだな」
山本はすんなり聞いて、スクアーロの肩を叩く。
スクアーロは顔をしかめたが、腰を上げて山本とバルコニーを出た。
獄寺も綱吉に言われて出ていく。
「オレはいていいのか?お嬢さん」
「あ…はい…。ユニちゃんのそばにいたいだろうと思って…」
ユニの後ろに立つγに恵は苦笑して見せる。
「ユニちゃん…今のはぶっちゃけないで欲しかった…」
「えっ、あっ、ごめんなさい…」
「いや、いいんだ…悪気はないってのはわかるよ……でもお姉さん、恥ずかしい」
「あっ、ごめんなさい…!」
項垂れる恵に慌てて謝るユニ。
「つまり、運命の赤い糸で結ばれているからこの現象が起きたと?」
いつの間にかスクアーロの席に座るティアナが結論を急ぐ。
「厳密に言えば……気持ちです」
「……気持ちって…運命の相手を求めてる気持ち?」
スクアーロも言っていたことを思い出して目を丸めた恵は身を乗り出す。
「最初はそうです。恵さんが求めたからスクアーロさんが現れた」
最初の出逢いの前日に、スクアーロに会いたいと酒に酔いながら強く思ったことを思い出してギクリとする恵。
「二回目はスクアーロさんも紅さんに会いたいと願ったから、もう一度出逢えた」
スクアーロも恵を思い出して会いたいと思いながら眠って起きたら恵のベッドの中にいたと話していた。
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