125「運命の愛で出逢った二人……素敵ですよね」
「許可なしに開くんじゃねぇぞ」
恵の唇が奪われまくっている事態に、スクアーロは苛立ちを露わにしている。
「ティアナ、こっち来い」
「え!? ティアナさん!? ティアナさんとキス!?」
「お“ぉいっ!! 顔を赤くしてんじゃねぇ!!」
あろうことか、XANXUSは指でティアナを招く。
同性は浮気に入るか否か。
本格的な実験になってきた。いやカオスだ。
綱吉は蚊帳の外になって、見守ることにした。
目を瞑りドキドキしながら待っている恵の目の前で、確認のため手を振る。反応はない。見えていないようだ。
XANXUSは恵から引き剥がしたスクアーロに、クイッと顎で指示する。
てめぇがキスをしろ、と。
XANXUSでもティアナでもなかったことに少し安堵をして、スクアーロは目を瞑っている無防備な恵の唇に口付けをした。
「? ……今のは、スク?」
「オレだ」
当然何ともない恵。
そこで嘘をつくのは、XANXUS。
「え!? なんともないけどっ」
「…お”ぉい、今のはオレだぁ。開けていいぞ」
目を開く恵の頭を撫でるスクアーロ。
「ユニの言う通り。スクアーロに呼ばれてこの世界に留まっているから、他の者と口付けをするだけで命を奪われるようです」
実験結果をティアナは綱吉に報告する。
それをXANXUSは気に食わなそうに横目で見たが、すぐに逸らす。
見えない力。
運命の赤い糸の力というべきか。
「唇を奪われただけで命を落としかねない恵をスクアーロと離すのは、彼女には危険ですね」
ティアナの言葉に、綱吉は目を丸めた。
何が言いたいのかわかって苦笑を漏らす。
「うん、そうだね。恵ちゃんはスクアーロのそばにいないと」
「…綱吉君…」
笑いかけた綱吉に、恵は申し訳なそうな顔をする。
「お“ぉいっ!! 当然だぁ! オレの運命の女だぁ!」
「わっ!?」
スクアーロは声を張り上げて、恵を抱え上げた。
「帰るぞぉ!」
「ちょっ! 待っ! 挨拶させない! こらっ!!」
「待てカス」
応接間から出ようとしたスクアーロの後頭部に、分厚い本が直撃する。勿論投げたのは、XANXUSだ。
「お”ぉい! なんだ!?」
「いちゃつく前にベルを立ち直らせろ」
「はぁ!?」
「失恋なんかで使い物にならなくなったら、カッ消す」
XANXUSはスクアーロではなく、恵に言った。
ポカーンとしていた恵はXANXUSがベルの心配をしている理解して笑みを溢す。
「優しいところ、あるんだ」
そんなことを言われたXANXUSは、ピクリと眉を上げた。
「……もう一回キスしてやる、こい」
「!?」
「お“ぉいっ! ざけんなっ!!」
スクアーロは恵を抱えたまま走って逃げる。XANXUSは追い掛けた。
結局、挨拶もなしに恵はボンゴレ本部を去る。
「よかったね、よりが戻って」
「運命の相手同士なのだから、幸せになってほしいです。…じゃないと意味がないじゃないですか」
残された綱吉とティアナが洩らす。
「運命の愛で出逢った二人……素敵ですよね」
綱吉がティアナに目を向ければ、ティアナは微笑んでいた。
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