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「すみませんすみませんすみませんっ!! 公衆の面前で、あんなっ、破廉恥なっ!」

「謝らなくていいよっ」

「ハッ! キスごときで慌てふためくな。うぶか」

「すみませんすみませんっ…嗅ぐな!」


綱吉に必死に謝る恵。

そんな恵を羽交い締めにするように同じ椅子に座っているスクアーロが、首筋に鼻を当てて吸うものだからくすぐったい。
公衆の面前で熱いキスシーンを披露してしまった恵は、赤面したまま。


「つまり、ベルにキスされて呼吸困難になったの?」


エスプレッソを淹れて恵に渡すティアナが訊いた。


「恵からキスしてきた」


隣に座るベルは、そっぽを向いて訂正をする。


「浮気をしてスクアーロに諦めてもらう作戦だったんだけど、ぐえ……ベル君にキスした次の瞬間、息が出来なくなって」


ベルを睨み付けていたスクアーロが、恵の腹を腕で締め付けてきた。恵はスクアーロの腕をペチペチと叩く。


「それで倒れた」


それをスクアーロが受け止めて声を上げた時から、綱吉達は目撃していた。


「ユニが言ってたのはこれなんだ…」


綱吉が呟く。

浮気をすれば、命に関わる。

他の男とキスをすれば、呼吸困難に陥る。だがスクアーロのキスで、呼吸は正常に戻った。


「もう一度してみろ」


そんなことを言ったのは、XANXUS。


「この目で確かめる。スクアーロがキスすりゃ死なねぇんだろ? やれ」


死にかけろ。そういう命令をしてきた。
XANXUSの視線を一同が追い掛ければ、ベル。
ベルにもう一度キスしろと命令が出ていたが。


「冗談じゃねーし」


ベルは椅子から立ち上がり、そのまま応接間を出た。


「王子のキスが毒とか…あり得ねぇ…」


自分の唇を噛み締めて歩き去るベルを、恵は心配そうに見送る。


ぉおいっ!! よせ!」


スクアーロの声に顔を戻せば、目の前にXANXUS。
くいっと顎を上げられたかと思えば、XANXUSの唇が恵の唇に押し付けられた。

ティアナが顔を背けたことに、誰も気付かない。


「っう!」

「恵っ!」


恵はすぐに身体を震え上がらせた。
喉に何かが詰まったように酸素が吸えない。恵がもがいたのを見て、すぐさまスクアーロはキスをした。


「ぷはっ! ハァハァ……! XANXUSとベルとスクアーロにキスとか…役得っ!」

お“ぉい…随分と余裕じゃねぇかぁ…」


ヴァリアー内で人気を争う三人とのキスに頬を赤らめる恵に対して、スクアーロは青筋を立てる。


「えっと…いいかな? 恵ちゃんはスクアーロ以外とキスすると、呼吸困難になる。事実だ」


XANXUSが納得したか、綱吉は低姿勢で問う。


「精神的なものじゃないかしら」


足元に視線を落としているティアナが言った。


「スクアーロ以外とキスしたことに罪悪感で発作的に起きているのかもしれない」

「それもあり得るな…。目、つぶれ」

「え!? まだ実験やるの!?」

「てめぇに拒否権はねぇ」

「あたしのことなのに!?」


ティアナの憶測に、XANXUSはまた実験を行おうとする。


お”ぉい! いい加減にしろ!」

「るせぇ。目閉じなきゃ二人まとめてカッ消すぞ」

「うぐっ…」


XANXUSが手を光らせたのを見て、恵は目を閉じた。




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