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123 「放さねぇぞ」






「っはあ!」


恵が大きく息を吸い込んだ。
スクアーロは目を丸めた。
胸を大きく揺らして呼吸をする恵。スクアーロの背広を握り締めて、見つめ返している。
呼吸が出来ている。
吐いて、吸っている。
恵の唇から間違いなく息が吐かれていた。吐息がスクアーロの唇に吹きかかる。
力なく微笑んだ恵から、唇を重ねた。
恵の唇の感触を感じながら、スクアーロは恵の髪を握り締める。
恵の香りを吸い込んだ。
安堵が広がるのを感じた。


「行くな…何処にも行くな…! オレのそばにいてくれっ…恵っ」


唇を重ねながらスクアーロは云う。


「離れるんじゃねぇ…」


深く口付けをする。


「放さねぇ」

何度も何度も口付けを重ねた。


「放さねぇぞ」


恵も口付けを返す。


「うん…放さないで」


スクアーロの首に腕を回してまた呼吸が苦しくなろうとも、求め合って激しい口付けを交わした。
夢中になっていたが、恵は見られていることに気付く。
最初に目に入ったのは、ポカーンとしてしている綱吉。
その後ろにティアナ、獄寺、山本。
それだけではない。
パーティー会場は静まり返り、注目していた。
スクアーロの声が注目を集めたのだ。

公衆の面前で、恵とスクアーロは熱いキスをしていたというわけだ。

その事実に失神したくなったが、都合よく失神なんか出来るはずなく、爆発的に真っ赤になった顔をスクアーロで隠すことしか出来なかった。
背広の襟を掴み、それで隠す胸の中の恵の行動でスクアーロも、漸く注目されていることに気付く。


「引き続き、パーティーをお楽しみください」


静まり返ったその場に、ティアナの声が響いた。


「応接間へ」


近付いて言うティアナに頷いて見せて、恵はスクアーロに引っ付いてパーティー会場から逃げる。







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