107 「あの女をモノにしてやる」
スクアーロは無理難題に立ち向かっていた。
「はぁ?なんでこのオレ様がそんなちんけなパーティーに参加しなくちゃなんねぇ」
XANXUSをパーティーに連れ出す。
これは無理難題だ。
公衆の場に顔を出すのはめんどくさいと吐き捨てるXANXUSはかれこれ三年はパーティーに出ていないはず。
スクアーロの記憶によれば、三年前のティアナの誕生日パーティーに参加したのが最後だ。
「てめえ、いつからパーティーに行くようになった?」
スクアーロが参加した最後のパーティーは恵の頼みでエスコートしただけ。スクアーロ自身、滅多にパーティーへ参加しない。
「これはだなぁ…ティアナの頼みで…」
「……てめえ、いつからティアナの頼みを聞くようになった?あ?」
自分の幼なじみがスクアーロを含む幹部にあまり好かれていないことはXANXUSも知ってる。
ティアナを気に食わないと思っているスクアーロが何故頼みを聞く?
ギクリと強張るスクアーロの顔を見てXANXUSは一つの原因を思い出す。
「…恵を餌に使われたってわけかぁ」
スクアーロが執着する女。
図星をつかれてスクアーロは「ぐぅっ」と呻いた。
恵を餌に無理難題を押し付けられたと安易に予想したXANXUSは考える素振りをする。
「あの女。たしか初めはドレスを着てたな…」
「?、それがどうしたぁ」
「…行ってやるよ、カス」
ニヤリ、XANXUSは挑発的な笑みを向けた。
「あの女をモノにしてやる」
「なっ…!!」
宣戦布告。
嫌なことを言いやがる。
狙っていることを前から仄めかしていたが、別れた今奪う気満々だ。
もう一人。
「へー、恵のドレスか。オレも行こう」
ベルだ。
悪い虫がここにいた。
その虫が恵目当てでパーティーに向かう羽目となりスクアーロは危機感を覚える。
この二人から恵を守るのは骨が折れるだろう。
だが、すぐにスクアーロはそんな心配も忘却する。
───────恵に会うのだ。
あの香りを。
あの笑みを
あの温もりを取り戻す。
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