005
「それに……友達がいるとなおさら痛くなるの」
「?」
「孤独が酷く感じる」
薄く笑って言う。
「そばにいてくれなきゃだめなのに…そばにいて支えてくれなきゃだめなのに」
本音が零れ落ちた。
誰にも云わない本音。
「スクアーロがXANXUSに尽くすように、スクアーロみたいな人になら孤独が埋まるのになぁって感傷的になるんだ。XANXUSは幸せ者よね、いいなぁー」
「…………そうかぁ?」
にへらと笑ってみせてまた肩をぶつける。
あたしの顔を見つめていたスクアーロは苦い顔をした。
あたしはその話も引きだそうとしたが、本人に拒否される。
「う゛お゛ぉいっ、恵。てめぇばっかオレを一方的に知っててずりぃぞ、もっと吐けぇ!」
グリグリと冷たい缶が頬に押し付けられた。
いきなり名前で呼ばれてときめいてしまったが、幸いアルコールで既に頬が赤くなっていたから気付かれずに済んだ。
てか発言も発言で…。くそう、イケメンめ。
「あたしは別に愚痴ることなんて…ほら、髪だってスクアーロと違って真っ黒!」
「う゛お゛ぉいっ!オレは白髪じゃねぇぞぉ!」
ケタケタと笑ってスクアーロの髪を手にする。
「艶々で綺麗ねぇ……」
指先に感じる艶やかな感触。するりと流れる。
ちゅ、と悪戯に唇をつけてみた。
「……お前、オレを誘ってんのか?」
目を丸めて身を引いたスクアーロが問う。
あたしは吹き出した。
「手は出さない約束よ?んなわけないじゃない、ほらのものも」
「……潰れるなよ」
「悪いが、潰れるほど飲んだことがない!」
「威張ることじゃねぇぞ!」
ドンと胸を張るとスクアーロが呆れて笑う。
にへらと笑いながら飲み続けた。
「スクアーロと飲むと楽しいなぁ…」
「そうかぁ…?」
「おや、スクアーロは楽しくない?」
「…いや、楽しいぜぇ」
ニカッと笑い返す白銀の彼にあたしは嬉しくなって笑い返す。
本当に楽しかった。
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