空色少女 再始動編
364
一週間後。
今度はスクアーロが来た。
「お前は泊まるの? トンボ帰りなの?」
「お前はって…どういう意味だぁ?」
「今月の訪問者は三人目だ」
「あ? 聞いてねぇぞ!?」
放課後にスクアーロと並森に向かいながら、話す。
スクアーロに無断でベルが来るのはいつものことだ。マーモンはスクアーロに言う必要がないと思い、来たのだろう。
「順番に会いに来るのはいいが、気を付けろよ? 家光にバレたら意味がない」
「言い聞かせてやる」
髪を結んで紅奈は、準備を整えた。スクアーロが剣を投げ渡す。
受け取り、ハの字を描き、回す紅奈。
本日はスクアーロの剣術で修行。
「ベルの奴を金輪際お前に近付けるなと言われたぞぉ! なにがあった!?」
「別に?」
声を張り上げるスクアーロに、紅奈は家光がベルを近付けたくない理由はわかっていたが、はぐらかしてスクアーロの斬撃を避ける。
ブンッ。
振り上げられた蹴りが、紅奈の腹に入れられた。
スクアーロより身体の小さな紅奈は飛ばされる。
受け身を取り着地すると、スクアーロはもう目前に迫っていた。
ガキィイイイイインッ!
「!」
振られた剣を剣で防げば、手に痺れが回る。
気を取られた隙に、スクアーロの蹴りが決められた。
紅奈は地面に叩き付けられる。
「…甘やかすな、スクアーロ」
ふぅ、と倒れたまま息を吐く紅奈。
今のは蹴りじゃなく剣を振れ。馬鹿者。
「甘いのはお前だぁ、紅奈。さっさと立て。隙だらけだぞぉ」
「あん? やれよ」
倒れたまま見下ろすスクアーロを、ニヤリと紅奈は見上げた。
挑発にスクアーロは、顔をしかめる。
「さぁて、甘いのはどっちだ? お前ならあたしを切らないと信じているあたしか、あたしを切らないお前か」
試しているのか?
紅奈の肉を切るつもりはない。
その甘さが気に食わないのか挑発してくる。
少し考えてから、スクアーロは剣を振り上げた。
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