空色少女 再始動編
360 一番
「で?なにか知らない?」
「……ボンゴレ2代目との関係はボスの方が知ってんじゃね?オレは知らねーよ。ローナ姫がボンゴレの創立に関わってたことぐらいしか。ああ、肖像画がボンゴレ本部にあるらしいぜ」
「へー、肖像画?」
2代目との関係が知りたかったが仕方がない。
確かにXANXUSが調べていたらしいからXANXUSに訊くべきだろう。
「姫君の庭のことは知らない?」
「庭…?さぁ、知らない」
知らないのか。
紅奈は寝そべったまま頬杖をつく。
思い浮かべる姫君の庭園。
「…紅奈」
「ん?」
呼ばれてベルに顔を向ける。
ベルは咳をした。移し返されてはたまらないと、紅奈はマスクをつける。
「…紅奈…ゲホゲホッ」
「なに?」
咳が止まらないベルの背中を擦りながら言葉を待つ。
咳が止まらなくて紅奈になにも伝えられないなんて、情けないとベルは自分に苛ついた。
「オレ、紅奈の一番になる」
やっと落ち着いてベルは告げた。
「一番?」
自分の一番。
それはどうゆう意味なのか。
紅奈は首を傾げる。
「紅奈の一番は王子が予約♪」
ニッとベルは笑みを浮かべてみせた。
紅奈の一番。
それは綱吉だ。
紅奈の一番が綱吉だが、自分が紅奈の一番になってみせる。
そんなベルの宣言だとは理解出来ず、紅奈はキョトンとした。
しかしベルは疲れてしまったのか、寝息を立てて眠ってしまう。
(…一番の部下になるってことかな)
紅奈はそうだと思うことにした。
暑さで目を覚ますベル。
湿った布団から逃げ出したくなるがら身体が重くて動けない。
それは風邪のせいだけではなかった。
腹の上に紅奈の腕が置かれてる。
隣には眠っている紅奈。
ずっとそばにいてくれたらしい。
一人で寝込む苦しさを知っているからこその優しさ。
(…………紅奈は)
死の苦しみを知っているからこそ、殺しを嫌う。
殺しをしてる自分をどう思っているのだろうか。
なんて疑問が過った。
熱のせいで思考回路が可笑しいようだ。
ベルは忘却した。
身体が弱れば、精神までもが弱るのだろうか。
病気だと気が滅入る。
それが孤独感を悪化させるのだろう。
紅奈がそばにいてくれてよかった。
ベルはマスクをしたまま眠っている紅奈を見つめる。
紅奈の一番になりたい。
紅奈が一番好きな奴になりたい。
紅奈が一番大切な人になりたい。
紅奈が一番想う人になりたい。
(紅奈の一番はオレのモノ)
ベルはマスク越しに、紅奈の唇に口付けをした。
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