空色少女 再始動編
359
「ベルって綺麗な目してんのに、なんでいつも隠してるん?」
「ん?…愚民に気安く見られたくないから。」
「……あら、失礼しました陛下。愚民気安く見てしまいました」
「え、紅奈はいいし。キングだし、元姫だろ」
ベルの上に上半身乗っかりながら指でベルの前髪を退かしてみる紅奈。
添い寝なんかしていると髪の隙間から見つめてくる瞳が見えていた。間近で見上げたりすればよく見える隠された王子の瞳。
適当な返答に紅奈は演技かかった口調でベルの上から退いた。
姫君が出てきて思い出す。
そういえば訊こうとしたんだった。忘れてた。
「ローナのこと、なにか知らない?具体的には2代目との関係」
「………なんで知りたがるんだよ?興味なかったんじゃないの?」
「ローナ姫が生きた最後の日を思い出してから気になってるの」
姫君について知ろうとしなかった紅奈がこうして問うことに疑問を持ったベルが問えばあっさりと答えられる。
最後の日。
つまりは死んだ時のこと。
ベルは言葉を失う。
それに気付いて紅奈は隣に寝そべって微笑む。
「飛行機が墜落して死にかけた時、海底で甦ってきた。初代ファミリーが最後まで姫君のそばにいて看取ってた」
「……紅奈…」
「ローナは怖さを感じてなかった。最後まで彼らが居てくれたから…最後まで笑ってた。病に蝕まれてズタボロのくせに…最後の最後まで……笑ってた。一番愛しているボンゴレに看取ってもらえたから」
何故だか、ペラペラと話せた。
前世の前世の最後。
「前世とは大違い…」
前世の最後は思い出したくもない。
「…前世は?」
俯く紅奈の頬に、ベルは触れる。
「……よく覚えてない。すごく怖かった……ローナとは大違い。最期まで一人だった」
紅奈は儚く微笑んだ。
前世の前世は看取られた。
前世は独りぼっち。
現世は、どうなんだ?
そんなことを不意に考えてしまうが、意味がないことだと忘却する。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]