[携帯モード] [URL送信]

空色少女 再始動編
354














「ピッ!」


ホイッスルの音を合図に駆け出す。
体育館の板を蹴り飛ばして、八段の跳び箱に手をつき宙に飛ぶ。


その空中でくるっと二回転して、着地。


途端に歓声と拍手が沸いた。


「沢田さん…危ないからそうゆう技は…」

「お言葉ですか、先生。こんなことで怪我はしません。それと飛ぶ前に言うべきではないですか?」


くるりとカールした髪を靡かせて紅奈は体育教師の元に歩みながら言葉を返す。


不登校の沢田紅奈から問題児の沢田紅奈に変わってからというもの、教師や生徒と一部の保護者から恐怖の対象になっていた。


だが紅奈は弟である綱吉をいじめさえしなければ紅奈は怒らないことに生徒達は気付いた。


暴れない紅奈は普通にしていれば少し可愛い女子小学生。
話し掛ければクールな子。

頭はいいし、運動神経抜群。

体育の授業で紅奈の運動神経はクラスの生徒達は見た。

運動神経がいいとそれだけで人気者になるわけで、次第に紅奈は休み時間遊びに誘われるようになった。


紅奈も出来るだけ身体を動かしたかったため、付き合う。


可愛いのにクールでスポーツ万能で頭がいい紅奈が恐怖の対象から外れて、学年一の人気者になったのは言うまでもない。


女子にも囲まれることになった。


「紅奈ちゃん、紅奈ちゃん。バレンタインは誰にあげる?」

「バレンタイン?」


二月のイベントの話になって紅奈は頬杖をつく。

きゃぴきゃぴした女の子達との会話はこうゆうのばかりで退屈だ。


人気者の紅奈のそうゆう話を聞き出したいようだ。


バレンタインは毎年奈々と二人でチョコを作り、綱吉と家光にあげていた。

奈々の手伝いをしただけ。

こうゆうイベントはめんどくさい。


周りを囲う女子生徒は、期待の目を向けてくる。
人気者の紅奈がチョコを渡す相手は誰なのか。


離れた男子生徒も気になって聞き耳を立てる。


「…知ってる?海外のバレンタインは男から女にチョコや花を贈るの」


物凄くめんどくさくなった紅奈は口を開いた。


「女ならどーんと構えて待って、男なら自分からプレゼントするべきよ!」


紅奈はめんどくさくていい加減なことを、かっこつけて言った。


そんな適当な紅奈の一言で、今期のバレンタインは逆チョコなった。(二年生だけ)






[*前へ][次へ#]
[戻る]

[小説ナビ|小説大賞]