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空色少女 再始動編
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空港に到着。


ベルは見送ると最後まで着いてきた。


「帰りはどうするの?ベル」

「タクシー」

「空港からあの屋敷までタクシーって…」


何十万するんじゃないだろうか。
そもそもベルって金あんの?
イタリアから日本往き来してるけど金大丈夫なの?

募る疑問をぶつければお決まりの言葉が返ってきた。


「オレ、王子だもん」


王子。王子…ねぇ。


「スクアーロになんか頼んでなかった?スクアーロ待たなくていいん?」

「あー、平気。そのうち連絡してくるだろうから」

「ふーん」


スクアーロは見送りには来れないだろう。


「もう時間だ」

「コーちゃん、行きましょ」

「うん」


フライトの時間。

紅奈はベルに「じゃあ」と短く言ってから綱吉と手を繋いで両親のあとを追い掛けた。


「紅奈!」


ベルが大きく呼んだ。


紅奈達は立ち止まり振り返る。

ベルは紅奈に駆け寄った。


「紅奈っ」

「なに?ベル」


やけに弾んだ声に首を傾げる紅奈。
ベルはいつもより楽しげな笑みを浮かべた。


ちゅっ。


紅奈の唇に、ベルの唇が重なった。


不意打ちを食らった紅奈は目を丸める。


「まぁっ!」

「なっ…!」


目撃した奈々は両手で口を覆って頬を赤らめて、家光はショックで青ざめて言葉を失う。

綱吉はポカーン。


「うしししっ!」


ベルは笑って紅奈から離れた。

そのまま手を振りながら、空港の行き交う人ごみの中に消えていく。


「…おー、やるねぇ。あの金髪ボーズ」


一緒の飛行機で日本に戻ろうとしていたシャマルも目撃していた。

立ち尽くす紅奈の顔を覗く。


「お?どうした、お嬢ちゃん。ときめいたか?」


シャマルはにやにやとして訊いた。


「…………不意打ちをされるのは面白くない」

「…!」


紅奈は膨れっ面をした。

全然ときめいていなかった…。


「ベルの奴め……覚えてろよ」

(お、怒らせた…!)


仕返しに燃える紅奈だった。


「もうっ!コーちゃんたら!本命はベル君だったのね!ちゅーなんてしちゃって!きゃー!」


奈々だけがときめいていた。

乙女か。


ベルは母親公認の恋人となったとさ。












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