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空色少女 再始動編
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店の前には9代目の守護者である見覚えのある二人が立っていた。一人は紅奈を気絶させた髭面の守護者。

目があった紅奈は、考えるよりも先に。


「いってぇっ!!」


彼の脛を蹴り飛ばした。

仕返しだ。


そのまま走り去る。






チッ!ざけんなっ!!よくもぬけぬけと顔を出しやがって!


壁に拳を叩き付けて紅奈は怒りをぶちまけるように声を上げた。


昨日の失敗に引き続き苛立ちが爆発する。


大人げないとわかってても落ち着けない。
それぐらいあの男を許せないんだ。


(家光と口を聞き始めたから自分も許してもらえるとでも思ったのか?ざけんじゃねぇっ!!)



次は壁を蹴り飛ばした。


(てめえらがやらなくちゃなんねーことはあたしのご機嫌とりじゃねぇだろっ!!!)


ギッと歯を食い縛る。

奈々達がいなければ怒鳴り付けたかった。


家光がいろうとXANXUSを解放しろと言いたい。

あたしが10代目になる。
XANXUSはあたしが責任もって抑え込む。
だから解放しろと

そう言いたい。


違う。言うべきだ。


チャンスを待ち続けるだけだとそのままストーリーに流されていく。

流されないように、壊しにかかるなら行動を移さないといけない。


戻ろうとした。


だが踏み出した時、目の前に綱吉がいて危うくぶつかるところだった。


「ツナくん…?」

「…ヒクッ…」


綱吉は泣いている。

ボロボロと涙を落としていく。


「…コーちゃん…コーちゃん…コーちゃんっ」

「どうしたの…?」


泣きじゃくりながら涙を流しながら、綱吉はヒシッと紅奈を服を握り締めた。


「…いかないで…コーちゃんっ」

「…?」

「…いかないで…コーちゃんっ…」

「………ツナくん?」

「…いかないで…コーちゃん……ヒクッ…」


そっと紅奈は綱吉の涙を拭う。

止まらぬ涙に紅奈は肩を落とす。紅奈まで泣きたくなってしまう。

綱吉は泣きながら言う。


繰り返し言い、紅奈にしがみついた。


「…いかないでぇ…おねがいっ…」

「………ツナくん。あたしはここにいるよ」

「いかないで、コーちゃんっ」

「…ここにいるよ…」

「いっちゃいやだよぉ…」


紅奈はしがみついた綱吉を両腕で抱き締めた。

ギュッと痛いくらい綱吉は紅奈を抱き締め返す。





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