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空色少女 再始動編
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新鮮なスライスしたトマトとバジルを添えてからオリーブオイルをかけた。

あとは焼くだけだ。


焼くのはピザ職人がやるため、店の席で焼き上がるのを待った。

店の中に美味しそうな香りが充満する。


「楽しみだねっ」

「だね」


綱吉とワクワクして待っていたら、訪問者を知らせる鐘が鳴った。

振り返れば、彼。


穏やかな眼差しをしたボンゴレ9代目。


そこにいると理解した途端に紅奈から笑みが消える。

ベルと家光はそれに気付く。


(よくも……ぬけぬけと…)


奈々と家光に声をかける9代目。紅奈は顔を伏せた。


奈々達の手前なんとか怒りを抑え込むが、紅奈のピリピリした雰囲気は確実にその場の空気を重くしていく。

鈍感な綱吉も気付くほどだった。


「やぁ、綱吉くん。紅奈ちゃん」


9代目から紅奈に話し掛けたが、紅奈は顔をあげない。


「ベルくん、席を譲ってくれないかい?」

「………」


ベルはどうすればいいかわからずにいたが、右手を紅奈に掴まれた。席を譲るなと言う意味だ。

ベルは黙って俯くことにした。


目すら合わせたない紅奈。
彼女を見つめた9代目は、そっと手を伸ばした。


それに気付いた紅奈は。


パシッ


振り払った。

漸く顔を上げた紅奈の表情、それは最後に会った時と同じだ。


「アンタは父親失格だ…!」


軽蔑と怒りで睨み付けてくる。

完全なる拒絶。


紅奈は怒鳴り声を上げる前に店を飛び出した。


「紅奈!」

「コーちゃん!」


両親が呼び止めようとしても、紅奈は行ってしまう。


「オレがいく」


ベルは椅子から飛び降りて紅奈を追い掛けようとした。


「コーちゃんっ…!いかないでっ!」


だが先に飛び出したのは、綱吉だった。

















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