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空色少女 再始動編
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バッ、と飛び起きる。

涙が溢れて落ちていった。
淀みなくポロポロと視界を邪魔する涙を落としながら、彼女を探した。

だけど、いない。

見当たらない。


「ヒクッ……ヒクッ……コーちゃぁあんっ!!!」


綱吉は大粒の涙を流しながら、紅奈を呼んで泣いた。


「紅奈ちゃんっ、どこぉっ」

「ツー君…!またなの?大丈夫よ、コーちゃんは朝になったら会えるから」

「コーちゃんっ…ヒクッ…コーちゃん!」


まだ薄暗い時間帯。
隣で寝ていた奈々はそっと泣きじゃくる息子を抱き締めた。

紅奈がそばにいないと不安で悪い夢を見るらしく、この三日間この調子だ。


飛び起きては紅奈を呼んで泣く。


「どうしたんだ?ツナ」


家光が顔を覗き込んで問う。


「どんな怖い夢を見た?」

「うっ……ぅっ」


綱吉は悪夢の内容を話そうとしたが、よく覚えていない。

だが、確かにわかっていることがあった。


「コーちゃんが…」

「コウが?」

「…コーちゃんが遠くにっ…いっちゃう、ユメみた…」


紅奈が遠くにいってしまう夢。

そうゆう夢だったとしか綱吉は覚えていない。


「…かなしくて…かなしくて……ヒクッ………こわかった…。コーちゃんは?どこなの?」


同じ夢だ。
毎日のように綱吉は紅奈が遠くにいってしまう夢をみたと泣く。

不安にかられた家光は立ち上がり、綱吉の頭を撫でた。


「オレが迎いに行ってくる」












紅奈の機嫌は深夜を回っても直らず、スクアーロ達は朝まで付き合った。


家光が迎えにきた車の中で、紅奈達は寝不足で睡魔に負けて眠る。

スクアーロに寄り掛かり、ベルに寄り掛かられている紅奈を家光はバックミラーで見つめた。


二時間程度の睡眠では睡魔を振り払えなく、紅奈とベルは項垂れる。


「コーちゃん!」


そんな紅奈にタックルするのは綱吉。
泣きついたがハワイの時のように、紅奈の笑みを見た綱吉は笑った。

紅奈は微笑む。


イタリア旅行最終日は、ピザ作り体験をしようということになった。

スクアーロは紅奈に頼まれたことがあったため、ベルを連れて別れようとしたがベルは紅奈に引っ付いて離れない。


「ベルちゃんもやりましょう」


奈々が受け入れてしまい仕方なくスクアーロは一人でその場を後にした。


沢田一家+ベルでイタリア本場でピザ作りの体験。


本場のピザといえばマルガリータだ。

眠気を吹っ飛んだ紅奈は綱吉とはしゃぐ。
うとうとしつつもベルははしゃぐ紅奈を見つめながらピザ作りに参加した。


先ずは生地を作り、ピザ職人を真似て生地を回して伸ばす。
粉まみれになって笑った。


そんな子ども達を微笑んで眺めながら、奈々と家光はその光景を写真におさめる。







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